2021 Fiscal Year Research-status Report
日独の建築規制比較による景観価値を適正評価した公共的価値向上のための方策
Project/Area Number |
19K15167
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
沼田 麻美子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 研究員 (70724623)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 景観規制 / ドイツ / 地域価値 / 景観 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツでは都市ごとにエリアにより建築規制を伴う建築誘導をしているが、建築詳細計画(Bプラン)を設置する地域は、土地価格は上昇する。特に旧市街地のような建築形状や高さ、維持管理などの規制が厳しい地域は、土地価格が担保され、居住地選択でも人気が高い。この背景として、条件に満たさない建物には銀行が融資しないことがあり、規制要件の確認は自治体が行うものの、土地や建物の資産価値を高める誘導は銀行の役割が大きいことが確認できた。 住民は規制や義務を伴いながら住居選択や生活をするが、例えば自動車交通を禁止した歩行者空間を設けるか、利便性を高めた自動車を選択するかについて、建設法典でも住民参加は義務化されているため、都市計画や制度を決定する際には住民の意向が権利として反映される。そのため、住環境の利便性と義務を住民が選択することで、建築規制や都市計画規制を住民が受け入れているといえるだろう。 最近では、気候保護法の改正に伴い、太陽光発電パネルの設置で、歴史的町並みか、再エネや熱エネルギーなど環境配慮地域か、住民による選択が求められている。電気代という個人への影響はもちろんあるが、地域としての方向性を検討している。この場合も、個人住宅としての価値よりも地域としての資産価値を考えており、ここに銀行融資の視点が反映されることで地域価値が確定されるため、常に地域価値を念頭にいれた建築制限や義務を受け入れられている構造であると考えられる。 建築規制を受け入れる住民意識調査を実施することで、地域価値向上の方策を検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツ自治体の公表データや資料から分析するところまで終わっているが、ドイツにて現地の住民意向調査が出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ドイツの現地調査に行けるか、対面によるヒアリング調査が可能な状況になるか時期や情勢を見て判断するとして、現地に行けない場合は、現地の居住者とコンタクトを取り、調査を依頼する形としたい。
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Causes of Carryover |
コロナによりドイツの現地調査ができなかったことや現地居住者に依頼する調査に時間を要しているため。 2022年度の日本建築学会参加費およびドイツ現地居住者に調査依頼費用とする。
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Research Products
(1 results)