2020 Fiscal Year Research-status Report
心理主義・物理主義の融合による街路空間の様相の解明
Project/Area Number |
19K15170
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Research Institution | Nagaoka Institute of Design |
Principal Investigator |
北 雄介 長岡造形大学, 造形学部, 助教 (40723482)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 都市の様相 / 都市景観 / 街路構成 / 街路構造 / 街路幅 / 街路空間 / 歩行実験 / バーチャルリアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、雰囲気や地域らしさといった都市の質的な側面に対する関心が高まっている。しかしその全体性や複雑性ゆえに、測定や分析の方法論は確立されていない。本研究では、都市の全体的な在り方を「様相」という概念で捉え、街路空間の様相を、心理的側面と物理的側面の両方から、かつ定量的・定性的に解明する。 具体的には、国内における直交グリッドの街路構造をもつ多数の都市領域で、その領域における代表的ルートの全方位映像を被験者に示し、印象を話してもらうことで心理的様相に関するデータを取得し、そのルート周辺の建物や交通量を測定することで物理的様相を知る。そしてこれらを分析することで、都市の様相を総合的に明らかにする。 これまでに、各都市領域の街路の物理的構成を可視化・定量化するためのプログラムを開発した。3DモデリングソフトであるRhinoceros+Grasshopperを用いて、都市の街路図から半自動的に、街路の①幅、②長さ、③方位、④勾配、⑤交差点形状のそれぞれについて、(A)平面的配置を示すグラデーションマップ、(B)分布を示すヒストグラムを作成できるものである。 このプログラムを用いて、京都市、札幌市、大阪市などの、直交グリッドの街路構造をもつ国内の主要都市を分析し、日本建築学会大会、土木景観・デザイン研究発表会において発表した。街路図が利用可能なあらゆる都市において、街路の物理的構成を統一的な手法で可視化できるシステムであり、現在は国内20都市領域まで対象を広げている。 プログラムにはさらに、それぞれの都市領域の特徴をよく代表するような数本の街路を抽出する機能も実装した。これにより抽出された街路を歩いて全方位カメラで映像・音声を撮影し、それをVRゴーグルで被験者に提示する実験を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に、対象都市における全方位カメラでの映像撮影を行なう予定であったが、新型コロナウイルスの影響により全く実施できなかった。繰り返される緊急事態宣言や大学の安全管理方針により、県外への移動が大きく制限されており、また人出が減少し休業店舗が増えるなど、撮影できる街の様子も普段と大きく異なる。 撮影ができない代わりに、街路の物理的構成の解析を強化した。具体的には、①対象とする都市領域数を10から20に増やした ②街路構成の解析プログラムを強化して、街路の長さや交差点形状も分析を可能にした ③代表的街路を自動抽出するプログラムを実装した の3点である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染状況を随時判断しながら、映像撮影を行ない、実験をスタートさせたい。街路の物理的構成の解析については、査読付論文を秋ごろに投稿し、年度内に採択・掲載されることを目指す。 ただし、映像撮影・実験が1年で完了する見込みが薄いため、補助事業期間の延長申請も検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、対象都市における全方位カメラでの映像撮影を全く実施できなかったことや、学会が中止またはオンライン開催となったことにより、旅費や人件費、機材費などを使用できなかった。 2021年度に、新型コロナウイルスの感染状況を随時判断しながら、随時撮影を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)