2019 Fiscal Year Research-status Report
島嶼地域における医療と福祉の連携を円滑化する地域包括ケアシステムのモデル提案
Project/Area Number |
19K15171
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
三島 幸子 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (50803277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域包括ケアシステム / 島しょ地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究では瀬戸内海に位置する有人離島55島の面積、人口等の基本情報や医療・高齢者福祉施設のデータベースを作成し、医療・高齢者福祉施設の整備状況を指標にパターン分類を行った。本年度は地域包括支援センターに対するアンケート調査及び典型事例調査を実施した。アンケート調査は人員配置、相談件数・内容等の項目について、有人離島を担当する地域包括支援センター72施設を対象に実施し、28施設から回答を得た。地域包括支援センターは保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員の配置義務があり89%が満たしているが、島内に位置するセンターでは一部主任介護支援専門員等が不足している。1ヶ月あたりの相談件数は100件未満が14施設と多い一方、300件以上も3施設ある。介護関連の相談が36%、次いで介護支援関連が26%と多く、介護関連は在宅サービスや入所施設利用に関する相談、介護予防関連はサロンへの参加要望や検診に関する不安が多く、島嶼地域には民間組織が少なく自治体と連携して検討する傾向にある。 典型事例調査は地域包括支援センターが島内にあり、診療所や高齢者福祉3施設が整備される上鎌苅島及び医療4施設や高齢者福祉9施設と整備が進む大崎上島を選定し、地域包括支援センター及び高齢者福祉施設へ訪問ヒアリング調査及び施設見学を行った。上蒲刈島の地域包括支援センターでは多職種の職員と毎月定例会議を実施し、個人ケースの共有等を行っている。また、入所施設は満床で、通所施設では定員の8割以上の利用がある。大崎上島の地域包括支援センターは週1 回いきいき100 歳体操を開催し、理学療法士等複数の専門職員に参加してもらい、参加者の身体状況の確認を行っている。高齢者福祉施設は、入所施設はほぼ満床で、通所施設も定員の7割程度の利用がある。一方、近年登録者が20 名ほど減少した施設もあり、今後サービスの縮小等の検討が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は典型事例5ヶ所を訪問予定であったが、調査準備に時間を要し2ヶ所しか訪問できなかった。そのため、瀬戸内海に属する島嶼地域における地域包括ケアシステムの構築を進める上での先進的な取り組み及び課題を可視化することを目的としていたが、十分なデータが得られず、課題の明確化までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は今年度実施できなかった3ヶ所への典型事例調査を行うとともに、以下の調査・分析を行う予定である。 (1)島嶼地域における地域包括ケアシステムの現状を把握するため、島嶼地域を含む19自治体に対し、島嶼地域における地域包括ケアシステムに関する郵送アンケート調査を実施する。 (2)島嶼地域における高齢者福祉施設の地域的立地動向を把握するため、WEBサイトのWAN-NETを用いて医療・高齢者福祉施設に関するデータベースを構築する。施設データベースの作成は九州北西部の108島を対象に、入所系(特別養護・養護・経費・有料老人ホーム、グループホーム等)、通所系(通所介護・小規模多機能型居宅介護等)・訪問系(訪問介護・訪問看護等)別に施設のデータ収集を行い、GISを用いて施設立地マップを作成する。 (3)地域包括ケアシステムの詳細な現状把握及び高齢者福祉施設の運営状況を把握するため、医療・高齢者福祉施設の立地状況からみたパターン分類を行い、典型事例を抽出する。典型事例は各パターンから1事例が基本であるが、特に入所・通所・訪問系が不足している地域を対象に5事例程度抽出して調査依頼を行う。 ただし、現在新たな感染症の拡大に伴い、他県への訪問が困難な現状にあり、いつ終息するか不透明である。そのため、現地調査については今後の状況を踏まえて判断したい。
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Causes of Carryover |
今年度は瀬戸内海に位置する島嶼地域への現地調査を十分に行うことができなかったため、来年度は最低でも3ヶ所以上の島嶼地域を訪問を考えているため、交通費及び宿泊費に使用する予定である。また、来年度より九州北西部の島嶼地域を対象へ対象を変更し、基本的なデータベースの構築や自治体、地域包括支援センターへのアンケート調査を実施予定であるため、印刷及び郵送費に使用する予定である。2021年度には九州北西部に位置する島嶼地域への現地調査も行う予定であり、交通費及び宿泊費に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)