2020 Fiscal Year Research-status Report
島嶼地域における医療と福祉の連携を円滑化する地域包括ケアシステムのモデル提案
Project/Area Number |
19K15171
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
三島 幸子 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (50803277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域包括ケアシステム / 島しょ地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は九州北西部の島しょ地域を管轄する地域包括支援センターに対し、アンケート調査を実施するとともに、昨年度不十分であった瀬戸内海地域の典型事例調査を行った。 アンケート調査は地域包括ケアシステムに関連する取り組み、資源の有無、課題及び対策、各分野の自己評価等の項目について、有人離島を担当する地域包括支援センター77施設を対象に実施し、24施設から回答を得た(回収率31.2%)。地域包括ケアシステム構築に向けた取り組みは第7、8期介護保険事業計画が100.0%で最も多く、30分圏内でのシステム構築との回答も20.8%みられた。また、91.7%が自治体主導で構築が進められ、2カ所のみ社会福祉協議会が主導していた。7割が自治体内に1ヶ所の地域包括支援センターが設置され、48.8%でブランチが設置されている。重点項目は、介護予防が100.0%、生活支援が87.5%と高い一方、住まいは25.0%と低い。自己評価は高齢者の見守りや健康づくり活動や地域活動、相談窓口等の項目が高いが、財源の確保や専門家の確保等の項目が低かった。 典型事例調査は昨年度訪問できなかった瀬戸内海地域の島しょ地域の典型事例として、未整備型から広島県福山市横島、医療巡回・整備型から広島県呉市鹿島、医療巡回・診療所整備型から岡山県笠岡市白石島を選定した。特に横島と鹿島では整備進んでおらず、現状の施設では利用希望者に沿ったサービス提供は困難な状況にある。ただし、2島は隣島と行き来可能な橋があるため、隣島の施設と連携を図り、不足しているサービスをカバーしていることが明らかになった。また、白石島では橋で行き来可能な島がないが、診療所や通所介護施設、グループホームと入所施設も含めて比較的施設整備が進められ、日常生活に必要な施設も含めて島内で完結できるようになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
九州北西部の島しょ地域については、現状把握のためのアンケート調査を行うことができたが、医療高齢者福祉施設整備状況の把握やパターン分類を行うことができなかった。 瀬戸内海地域の島しょ地域については、昨年度行うことができなかった典型事例調査を行うことができたが、3島に留まったためさらに事例調査を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
九州北西部の島嶼地域において、今年度進めることができなかった高齢者福祉施設のデータべ―スを作成する。必要に応じてアンケート調査などで不足した情報を収集する。 高齢者福祉施設の運営状況を把握するため、施設の建築概要の把握、利用者アンケート調査を行い、地域における高齢者福祉需要への対応の実態及び課題を明らかにする。現地調査は難しいため、アンケート調査を基本とし、必要に応じて、九州産業大学の先生の協力も得ながら調査を実施する。 また、瀬戸内海地域を中心に過去の調査で得られた研究結果を論文にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は瀬戸内海の島しょ地域の調査ができず、今年度3ヶ所訪問することができたが、最低限の調査しかできなかったため、交通費及び宿泊費に使用する予定である。また、来年度九州北西部に位置する島しょ地域への現地調査も予定しており、交通費および宿泊費に使用する予定である。
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