2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K15172
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
友渕 貴之 宮城大学, 事業構想学群, 助教 (10803596)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人を繋ぎとめる場所 / 条件不利地域 / 東日本大震災 / 場所 / 住環境 / 集落 / 復興まちづくり / 集落帰還 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、当初より計画していた多数の住民への現地調査を実施することは困難であった。一方で、少人数へのヒアリング調査を段階的に実施した。主に3つの観点から調査を行った。1つ目は人が住むための住環境、2つ目は集落帰還を果たすことを目的とした復興まちづくりの取り組み、3つ目は集落帰還に至るまでの居住動向である。 住環境に関する調査では、震災前後の住環境を比較分析することで、住環境の変容を明らかにするとともに、住民の交流関係等に影響を及ぼす要素についての分析を行った。研究を通じて、震災前と比べて地域住民の交流を誘発する空間要素が一部失われていることが明らかとなった。一方で、現時点では地域に対する信頼度は高い傾向にあることが見受けられ、現在の住環境の中で地域やコミュニティに対する信頼関係を維持・促進していくための方策を検討することが課題として浮かび上がった。本研究成果は査読付き論文として採択され、2022年度に論文掲載される予定である。 集落への帰還を目的として取り組んできた復興まちづくりの活動の整理・分析作業を進めた。宮城県気仙沼市唐桑町大沢地区における復興まちづくりの取り組みは2021年度日本建築学会賞(業績)を受賞するに至った。本活動について整理することで、人を繋ぎとめるための知見を抽出しようと試みている。本研究成果は現在、査読付き論文として投稿中である。 集落帰還に至る居住動向に関する研究調査では、複線型の居住動向を行うこととなった点に着目し、成果と課題についての整理作業を行っている。現在、本研究成果については査読付き論文として投稿するための準備段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、住民への一斉調査を通じて、被災した集落に留まることに作用した場所の特性を解明することを目指している。現在、コロナ禍において、可能な範囲でのヒアリングを通じて、人を繋ぎとめるための復興の取り組み、人が住むための場、帰還するためのプロセスについての調査を進めている状況である。徐々に集落への立ち入りが出来る状況へと移行しつつあるが、一斉調査を行うことへのハードルは高い状態が続いている。そのため、調査方法を検討し、可能な範囲での調査を実行するための体制構築に向けて準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前述した研究成果を査読付き論文として公開できるようにすること、そしてコロナ禍で中断していた研究調査を実行するための体制構築を行い、実行することを目指す。また、その上で、人を繋ぎとめる場の特性について多角的な検証を行い、パイロットモデルを構築することを目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、集落への一斉調査を行うことが困難であったため、旅費を中心に資金の使用が少なくなった。本年度へ持ち越した金額については、次年度の研究調査費用としても使用する予定である。対象地域のコーディネーターとは定期的に状況の連絡を取り合っており、状況を見ながら調査を実施する予定である。今年度は対象地域において帰還と場所の関係性についてのコアとなる調査を実施する。その成果を踏まえて、本研究期間における知見を総括し、人を繋ぎとめる場の特性の抽出作業を行う予定である。
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Research Products
(2 results)