2019 Fiscal Year Research-status Report
親水まちづくりの発展に資する親水組織の形成過程とその役割に関する研究
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19K15176
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
菅原 遼 日本大学, 理工学部, 助教 (10755432)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミズベリング / 民間主導 / 行政支援 / 河川利用管理 / 地縁型組織 / 水域占用 / 組織団体の専門性 / 河川区域 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究活動では、「ミズベリング・プロジェクト」の活動組織73団体の全国分布や活動内容、活動場所、連携体制等の網羅的な把握を行った。水辺利用に関する活動種別としては、娯楽、体験、運動、物販、環境保全、展示等に大別できた。また、各団体の活動状況としては、「Ⅰ:準備期(地域内の協議・検討段階)」「Ⅱ:試験期(社会実験等の一時的な取り組み実施段階)」「Ⅲ:発展期(継続的な取り組み実施段階)」の3段階に分類でき、事例に応じた取り組み状況の差異を確認できた。次いで、民間組織による水辺利用が確認できた新潟県新潟市・信濃川、福井県越前市・日野川、静岡県沼津市・狩野川の3事例への現地調査を実施し、民間組織の取り組み内容や水辺利用における役割等を把握し、多主体連による水辺利用の継続性の要件として、①水辺利用管理の専門性を有する人材育成や組織編成、②地域住民の水辺利用の意向調査と取り組みへの反映、③水辺利用管理の担い手となる民間事業者の役割の明確化等を整理した。 また、「ミズベリング・プロジェクト」以外の民間主導型の水辺利用の取り組み事例として、大阪府大阪市・尻無川における河川敷の民間管理事例や、都市近郊部の貯木場水面の民間主導による活用事例として、大阪府大阪市・平林貯木場の現地調査を実施した。また、比較対象として、イギリス・ロンドンおよびアメリカ・ポートランドにおける民間主導による水上住居コミュニティの組織運営と水域管理の実態調査を実施し、水上住居群の形成経緯や水域の利用管理を支える法制度および住民組織の役割に関して整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究活動では、当初予定していた全国のミズベリング・プロジェクトの活動団体の抽出と各団体の活動実態(取り組み内容、実施主体、実施水域、実施施設、実施時期、実施目的)を把握できた。また、各団体の取り組み状況の比較検討を行うことで、各団体の水辺利用の取り組み実態として、「準備期-試験期-発展期」による段階的な取り組み状況を整理することができた。 また、民間主導による河川利用管理を展開している新潟県新潟市・信濃川、福井県越前市・日野川、静岡県沼津市・狩野川の3事例の調査を通して、「民間主導-行政支援」型による河川利用管理の事業スキームにおける民間組織の役割を整理することができた。 現在、国内外における民間主導による水面利用管理に関する各種事例の調査およびその成果との比較検討を行い、ミズベリング・プロジェクトにおける河川利用管理にみられる民間組織(親水組織)の特徴と課題の整理を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究活動では、さらなる事例調査を展開することで、研究計画における「第3段階:水辺の利活用を支える親水組織の形成過程とその役割」を検討するとともに、取り組み状況に差異が生じている理由を、空間面・組織面・運営面・精度面の観点から考察していく。また、「ミズベリング・プロジェクト」の事例に限定せず、民間による河川利用が推進されている「河川空間のオープン化」に関する各種事例やその他国内外における水面活用事例の実態調査を実施し、都市水面の活用に向けた要件整理を行うとともに、親水まちづくりの発展に資する親水組織を中心とした地域社会圏のモデル化(親水社会圏モデル)の構築・提案を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度の調査に関しては、「ミズベリング・プロジェクト」の事例抽出に大きな調査期間を要したため、当初予定していた全国への現地調査が限定された。また、それに伴う資料印刷や物品購入もなかったため、当初予定していた所要額と使用額に差異が生じた。 2020年度の調査では、現地踏査や論文執筆を中心に研究活動を展開していく予定であるため、必要とされる予算項目に充当していく予定である。
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Research Products
(6 results)