2022 Fiscal Year Research-status Report
Public Library as Urban Public Space: architectural plan and implementation of PFI model in public library
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19K15177
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
後藤 克史 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (30814785)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 建築計画 / 公共図書館 / 公共空間 / 都市空間 / 指定管理者制度 / PFI |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究は指定管理者制度を導入している公共図書館の公共の場としての建築空間・計画を研究対象としている。特にカルチュラルコンビニエンスクラブ(以後CCC)が指定管理者として管理・運営する公共図書館(申請時には全国で6館、本報告書を作成時には8館が開館、2館が計画されている)を中心に公共サービスを提供する空間、商業的サービスを提供する空間との関係を明らかにする。 2021年度にはCCCが指定管理者として管理・運営する公共図書館4館(多賀城、海老名、高梁、周南)を写真撮影および実測を3D計測技術を用いて行った。2022年度にはCCCが指定管理者となっている公共図書館との比較調査として近年に開館された公共図書館、特に複合施設として開館された5案件の実測を3D計測技術を用いて行った。さらに、3D計測によって得られたデータを利用して外部協力者と合わせてスペースシンタックスの理論にもとづき空間解析を行った。空間解析ではことなる視線の高さを基準に2次元、および3次元での解析を行い、図示化が終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度にコロナウイルス感染症とそれに伴う緊急事態宣言、まん延防止等重点処置が10月まで取られていたたため、訪問・調査の開始が2021年度10月下旬となった。よって、2020年度より撮影および実測の方法を3D計測技術による方法に変更したため、調査にかかる時間、および調査から得たデータ作成や整理が格段に時間短縮されたことにより、遅れはいくらか取り戻せたが、2021年度内に指定管理者制度を導入している公共図書館との比較対象となる公共図書館、特に複合施設として近年に開館された図書館の実測までには至らず、それらの実測調査を2022年度に行うこととなった。 したがって、2022年度の実施成果としては新たな4館の実測調査に加えて、昨年度までに実測調査を終えている5館を加えた述べ9館の空間解析を2次元、3次元のデータとして行った。空間解析にはスペースシンタックスの空間解析の方法を用い、2次元の分析に関しては各館に対して「各フロアごとに5つの指標、3つの視認制限」を変動させて行い、3次元の分析に関しては「特徴的なフロアのみに対して、3つの資料で1つの視認制限」にて分析を行った。当初よりも分析する内容が多くなり、2022年度の年度末まで分析、解析が必要となった。したがって、実測および分析(それぞれ理由は異なる)で遅れが生じており、全体の進行がやや遅れているという状況である。 また、コロナウイルス感染症の影響は公共空間、特に本研究が対象とする公共図書館のように建築内部の公共空間ではその利用方法や市民の利用形態の変化も報告されているため、新たな視点を本研究に関する空間解析、建築計画の分析に必要な視点と言える。その点からも新たな文献、事例の抽出が必要となるため、研究の進捗状況はやや遅れていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度から2022年度にかけて述べ9館の公共図書館、公共図書館を含む複合施設を訪問、実測調査、およびスペースシンタックスでの分析が完了している状況でである。したがって、今後は新たにCCCが運営する図書館を訪問は現時点では検討していない。 2021年度、2022年度と海外のPFI事業の事例が現地を訪れて調査ができていないことから、引き続き、海外での事例、特にPFIの始まりである英国との事例との比較を検討する。 調査で得られた3D計測技術で得られたデータとスペースシンタックス空間解析の観点からは、データの取得はできているため、次の段階としては公共図書館、およびそれを含む複合施設に関する建築計画の類型の整理を行う。加えて、空間解析から得られた考察、類型に関する考察を複合的に評価することになる。空間解析の建築計画の視点からの分析や研究の成果へ結びつけるためにはコロナ禍による公共空間の利用状況の変化も考慮する必要がある。したがって、新たな文献や国際的研究集会とのコミュニケーションが課題となる。これに関しては本研究初年度から関連付けているイタリア、ローマを中心とするPublic SpaceBiennaleの主催者、及びUN-Habitatの関係者とも連携を取りつつ、最新の動向の情報を得ることに努めることとする。
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Causes of Carryover |
CCCが指定管理者として管理運営する公共図書館に加えて、比較検討のために実測データを取得した公共図書館、およびそれらを含む複合施設の実測が5館に及んだため、それ故に得られた実測データからの空間解析が2022年度の下半期となった。また、空間解析にかかわるパラメータを増やしたため、データ生成に要する期間も増えることとなった。概ねデータの作成と整理が終わっているが、年度末ということもあり、外部協力者からの報告書が遅れており、協力金の支払いは2023年度に持ち越すこととなっている。2022年度は海外事例の比較検討は行わず、国内の事例をもとに調査を進めてきたが、2023年度には比較対象となる事 例を海外から抽出する可能性もあり、海外出張への支出が見込まれる。よって、海外での事例や国際的研究集会での海外渡航も引き続き検討するが可能性はすくない。特に、コロナ禍を経ての公共空間、とくに建築内部の公共空間利用実態のアップデートの国際的な比較検討のためには必要かと思われる。 また、実測には3D計測技術を利用しており、クラウドサービスへの登録およびデータダウンロードの経費が引き続き継続して発生する。
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