2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K15179
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 萌 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (80822139)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 市街地構造 / 農的空間 / 計画的介入モデル / 評価軸 / 計画指標 / 住生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は主に、1.都心度と農地の特性の関係に着目した市街地構造の実態解明、2.設定した農的空間の評価軸の有効性の検証、3.農的空間の計画指標の構築である。 1.では、単純な農地保全と宅地開発の二項対立的な市街地構造とは異なり、都心度が高いのにもかかわらず多くの農地が住生活にとって重要な場所に存続しているエリアもあるのではないかという考えのもと、関東大都市圏の28区について、都心度と農地の特性の関係から市街地構造の実態を明らかした。その結果、都心度が高いエリアでありながら農地が比較的多く存続しており、農地が住生活にとって重要な場所に立地しているエリアとして世田谷区を位置づけた。 2.では、利用者の行為や意識変化、周辺の不動産価値の変化に着目して親和性・社交性・多様性という3つの評価軸から農的空間を包括的に評価した。具体的には第一に、作物を栽培するという行為を通した自然との触れ合いや他者との交流などの自発的、創造的行為を創出する緩衝空間を基にした親和性を有すること、第二に、利用者による自発的な取り組みや継続的な農的空間への関与の意欲など、主体的参加の向上につながる社交性を有すること、そして第三に、新旧建物が混在する市街地空間と多様な特性の人々の参加を促す多様性を有することの3つを評価した。これらの分析を基に、住生活の質の向上につながる農的空間の評価軸として親和性・社交性・多様性が有効であることを示した。 3.では、農的空間の評価指標の計画への適用効果を論じることで、「農地の区画規模」「接道街路の幅員」「接道面数」「囲み度」「歩行率」「用途の混在度」「囲み度の混在度」の7つを農的空間の計画指標として構築した。また、農的空間の計画プロセスを6つのフェーズに分け、各フェーズで適用可能な計画指標を示すとともに、構築した7つの計画指標を用いた3つの農的空間の計画的介入モデルを提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究スケジュールで今年度に予定していた社会的要素の実態調査と、その空間的要素との関係性の分析を実施することができている。また、モデルの構築には至っていないものの、評価軸の再検討とその有効性の検証を経て計画指標を提示するとともに、その指標を用いた計画的介入のモデルを示している点で、研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に構築・提示した評価軸、計画指標、計画的介入モデルを基に、計画モデルを構築・提案し、実地での検証を進めていく予定である。コロナ感染症拡大の影響や市民農園需要の高まりを背景に、当初予定していた実証実験を実施することが困難な可能性があるが、現地での模型を用いたワークショップなどに代えることで対応していく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年夏季に感染症が再流行したことに伴い、予定していた研究出張を1回実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度は計画モデルの構築のために、複数の事例を視察することを計画しており、次年度使用額についても現地調査や視察の実施のために使用することを計画している。また、2022年度は現地での実証実験を実施する予定のため、そのための模型の作成や、場所使用料、被験者への謝金などとして助成金を使用することを計画している。さらに、2022年度は本研究課題の最終年度となるため、研究成果をまとめる際の印刷・製本費として助成金を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)