2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on Evacuation Guidance Considering Fool Proof in Large Scale Building
Project/Area Number |
19K15184
|
Research Institution | National Research Institute of Fire and Disaster |
Principal Investigator |
藤井 皓介 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, その他 (10759575)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 避難誘導 / 空間行動 / 大規模施設 / 群集 / 誘導灯 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模施設の避難時における人的誘導方法と誘導灯設置方法の現状と課題を把握するため、関連法規および実際の対策状況に関する調査を行なった。 (1) 避難誘導に関連する法規の整理: 消防法のうち、避難誘導に関わる具体的な法規である誘導灯の法規を整理し、建築基準法の避難計画との齟齬を明確化した。想定する経路や火災発生箇所による避難経路変更に違いが見られた。誘導灯の設置については、火災発生場所による経路の変更に対応していないこと、階段や出口だけでなく防火区画を到達点とすること、通路の幅を考慮しないことなどが特徴として挙げられる。 (2) 実際の施設における人的誘導および誘導灯による避難誘導実態の調査: 主要都市圏の地下街、鉄道駅、商業施設5ヶ所を対象に、誘導灯の設置実態について現地調査を行った。表示内容等に基づく誘導灯の設置空間、設置位置、特徴を把握、整理した結果、用途により異なる遮蔽物や、通路の幅や分岐等の空間形状により誘導灯の設置位置に違いが見られた。また、これらにより、必ずしも視認性や経路指示効果が十分とは言えない状況も見て取れた。現状、法規に基づく設置はされているが、必ずしも避難者の視点によるシークエンスを考慮した設置状況にはなっていないことが明らかとなった。また、主要都市圏の消防本部に対する誘導対策の有無や方法に関するヒアリング調査の結果として、人的誘導の方法として、拡声器等の道具を使用することは想定しているが、指示方法について具体的内容はなく、自衛消防隊に任せることが回答として得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、本年度は避難誘導実態を把握するための関連法規の整理と対策状況に関する調査を行なった。具体的には、避難誘導に関わる具体的な法規である誘導灯の法規を整理し、建築基準法の避難計画との齟齬を明確化した。また、主要都市圏の大規模施設における現地調査とヒアリング調査に基づき人的誘導および誘導灯の設置と人的誘導方法の実態について把握した。このように研究は計画に従い、概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、避難者を想定した被験者を経路選択が必要となる実大規模の空間で行動させる避難行動実験を行う。群集で避難する場合と単独で避難する場合について、被験者の行動をビデオカメラ撮影等によって記録し、これを解析することで誘導者と避難者の対応行動などの分析を通じて、避難時間の違いおよびその発生要因、誘導方法ごとの経路選択行動および要因を明らかにすることで、避難誘導効果の差異を明らかにする。今年度の調査より、空間形状や遮蔽物により誘導灯の設置状況や視認状況に違いがあることなど、実験想定等に有用な情報が得られた。実験想定や分析の際に必要な情報に不足がある場合は、引き続き避難誘導について調査を行う。
|
Causes of Carryover |
当初の計画に対して、調査旅程の効率化と機関の基盤経費の使用により旅費、交通費、物品費、謝金が計画よりも下回ったため残額が生じた。また、今年度の調査により実験条件の増加が見込まれ、実験データ取得のためには機器や人員等の研究体制について拡充が必要となる可能性が高い。実験データ取得のための機器や人員等の研究体制の充実により有用な結果が得られることが想定されることから、本年度生じた研究費の残額を実験および分析のための物品費および謝金に利用するとともに、次年度の避難誘導調査に使用することを予定している。
|