2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K15186
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
江本 弘 千葉大学, 大学院工学研究院, 日本学術振興会特別研究員(PD) (10831422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近代建築史 / グローバル・ヒストリー / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
第2年次研究においてはまず、第1年次研究で進めた分析対象文献の取集を継続した。この追加調査によって、英語・仏語・独語の近現代建築史書については十分数の収集が行われたと考える。これらのOCR化を行い、データとして即時利用可能なかたちにした。 加えて本年次には、世界史文献の系譜学的分析への利用を目論み、近代建築史の世界史化に関係するトピックを選定した。特に、「ミース・ファン・デル・ローエの世界受容」、「日本古建築・近現代建築受容」、「(ニュー・)ブルータリズム史の学術史」に関連した文献史料を集中的に収集した。これらについてもOCR化を随時進めた。これらの史料を用い、「日本近現代建築の世界史への組み込み」に関して、研究を国際発表および査読論文として発表した(「ミースを囲む雄弁:『日本建築の影響』言説の形成」、「桂離宮神話:グローバル・ヒストリー概観」)。 (ニュー・)ブルータリズム史の学術史に関しては、1950年代~60年代の成立期と、21世紀に興った(ニュー・)ブルータリズム再評価の新たな学術史をそれぞれ研究した。この術語のもとに書かれた戦後近現代建築史は、1950年代末から明確に世界史を志向したという点において、特に本研究のメインテーマと関係が深い。現代の広義における「ブルータリズム建築」も、やはり世界史を前提としている。本研究では、地域的ムーブメントが世界史的標語となった過程を精査した。特に成立期の学術史に関しては、"Brutal Act of Time: Brutalism in Japan from Within and Without"(DoCoMoMo2020国際シンポジウム、2021年に延期)としてポスター発表にまとめた。レイナー・バナム『ニュー・ブルータリズム』(1966)の精読をもとに、これを全訳し、書誌解題を準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献史料の収集については、国外インターネット通販を用いて継続している反面、そうした販路に乗らない国や地域への渡航調査が叶わなかったために、期待していただけの結果は得られなかったとみている。ただし、解析に必要な世界近代建築史書のラインナップとしては現段階までにあるもので十分とみる。海外渡航が不可能になった分の予算の一部を文献のOCR化に充て、これらの一次史料のほぼすべてをデータ分析可能なかたちにした。 また、近現代建築の世界史成立を系譜学として分析するためのサブトピックの発見は、分析対象となる文字史料群の有意な拡充に繋がる。この点において、2年次に個別研究として焦点を当てた受容史・学術誌研究では大きな進展がみられた。これらのサブトピックのそれぞれについて学術発表の機会が得られた(うち1つは2021年に開催延期)。 研究の遅延は主にプログラミングにかかわるものである。実装に向けた打ち合わせについて、UIの概略については議論が進んだが、プログラマとの日程調整が捗らず、協力いただけるプログラマをさらに募る必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
解析対象となる文献史料の収集およびOCR化は2年次までで十分数に達した。また、得るべき解析結果についての議論もまとまりつつある。3年次の前半はアプリケーションの開発に注力する。 具体的には、3年次4月(現在)にプログラマへの協力依頼を改めて行い、3年次前半までにプログラムを完成させる合意を得る。そのための趣旨説明とアポイントメントを終えた段階である。その後、6月末頃にベータ版の開発を終え、史料を解析にかける。ここで用いるのはジークフリート・ギーディオンの『空間 時間 建築』(1941年初版)とし、全5版の増補が特定の国や、その国籍の建築家の組み込みの過程として一覧化・図示できるようにする。 3年次後半は、このベータ版をブラッシュアップ・発展させ、データ化した文献全体を一体的に解析し、ソートできるようにする。各世界史記述について、解析結果をもとに、有意な系統別整理ができるようにする。 これらのプログラム実装の経過にともない、解析結果を用いて「近現代建築史の世界史化」に関する論文執筆を順次進めていく。完成した原稿は『近代建築史にとって「世界」とは何か(仮題)』としてとりまとめる。
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Causes of Carryover |
文献購入費として第3年次使用分と合わせて使用するため、第2年次から持ち越すこととした。
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Research Products
(4 results)