2019 Fiscal Year Research-status Report
宇宙機搭載に向けた磁気クロークの多層化および磁気遮蔽能力の向上
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19K15204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長崎 陽 東北大学, 工学研究科, 助教 (60823747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 磁気クローク / 超電導磁気シールド / 高温超電導 / 放射線シールド / 宇宙応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、宇宙機用磁気シールドシステム構築を目的として、磁気クロークを多層化することで磁気遮蔽能力の向上を図り、磁気クロークによる磁気シールド技術の確立を目指す。本年度は多層磁気クロークの磁気遮蔽能力を明らかにするため、超電導磁性体磁気シールドの電磁界解析モデルを構築した。超伝導シリンダー・強磁性体シリンダーの材料・径・長さ・層数を設計パラメータとし、有限要素法を用いて様々な構成の磁気シールド内への磁場侵入量を明らかにした。解析の結果、超電導シリンダーおよび強磁性体シリンダーを多層化することで磁気遮蔽率を向上させることは出来るが、磁場が大きくなることで遮蔽率が大幅に低下することを明らかにした。高磁場の遮蔽にも対応するために超電導磁気シールドの構成を変更し、ソレノイド式に巻線した高温超電導テープ線材を適用した。超伝導体の特性(非線形な通電特性・誘導電流特性)を取り入れ、種々な周波数・振幅の磁場印加時における、超電導磁気シールド内の磁場強度・遮蔽率の解析を行った。解析の結果、超電導テープ線材の巻数を増やすことで1 T程度の強磁場においても磁場を約1/1000減衰させることが可能であることを明らかにした。高温超電導テープ線材の径・巻数・長さやテープ間接続抵抗を変化させながら、最適となる超電導シールドの構成について検討した。解析結果を基に、現在、100 mT程度の磁場を遮蔽するための多層磁気クロークのスケールダウンモデルおよびその実験系の構築を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は磁気クロークシステムのスケールダウンモデルを構築するために解析モデルの構築を行った。構築したモデルを用いて解析を行うことで磁気クロークを多層化させるのみではなく、超電導シールドの構成を変更することでより高磁場の遮蔽を達成することができることを明らかにした。当初予定していた磁気クローク構成の多層化のみでは大幅な遮蔽率の向上は難しかったが、構成を変更することで遮蔽率の向上に成功している。本解析モデルを用いて来年度磁気クロークのスケールダウンモデルを構築し実験を行う。磁気クロークの構成に変更が必要であったため、当初より設計に少し時間が必要となったが、順調に本研究課題が進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
電磁界解析を用いて設計した高温超電導テープ線材および高温超電導バルク体を用いた多層磁気クロークスケールダウンモデルの遮蔽能力を測定し、構築した解析コードによる設計の妥当性を確認する。100 mT程度の印加磁場において1/1000程度の減衰量が得られていることを確認することに加えて、磁場印加中の磁気クローク内外の磁場分布をマッピングすることで、周辺磁場への影響を明らかにする。また、様々な周波数および振幅の磁場を印加し、解析結果との比較を行う。実験と解析結果に乖離があった際には、解析モデルおよび実験構成の再検討を行う。本検討により、磁気クローク周りの電磁場を再現可能な解析モデルを完成させ、放射線シールド用フルスケール磁気クロークシステムの設計へと繋げる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会出張や国内・国外出張がコロナウィルスの影響によりキャンセルとなったため旅費に未使用額が生じた。旅費未使用額に関しては次年度の旅費に使用する予定である。また、実験系の構築に時間を要したたため、測定系の購入などを次年度に行うこととした。
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Research Products
(2 results)