2019 Fiscal Year Research-status Report
Application of Detonation to High-performance, Miniature Rocket Engine
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19K15209
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川崎 央 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (20802242)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宇宙推進 / 化学推進 / 液体ロケット / ロケットエンジン / デトネーションエンジン / 回転デトネーションエンジン / デトネーション |
Outline of Annual Research Achievements |
小型の衛星は、開発ならびに打ち上げに要する時間的・経済的コストが比較的小さいことから、近年ではこれを活用した宇宙ミッションが活発化しており、より高度なミッションの実現が多数検討されている。高度化の1つの方向性として、衛星の機動性(航行する軌道を変化させる能力)の向上は重要である。このような背景の下、本研究では、既存の工学機器で利用されている燃焼形態(デフラグレーション)とは明確に異なる燃焼方式であるデトネーション(爆轟)という現象を理解し、応用することによって、簡素なシステムと高い推進性能を両立した小型ロケットエンジンシステムの実現に資することを目指している。 本年度(2019年度)は、従来の回転デトネーションエンジン(RDE)と比較してより小型で簡素な燃焼器形状を有する単円筒RDEについて、燃焼器内部の燃焼場・流れ場を、可視化ならびに多点圧力計測により実験的に検討した。ベースラインの条件として、燃料および酸化剤はそれぞれエチレンおよび酸素、インジェクターは細孔を同心円上に配置したダブレット型とし、燃焼器寸法は直径20 mm、長さ70 mmとした。可視化観測により、燃焼器内部ではインジェクター近傍の活発な化学発光領域のスケールが、推進剤インジェクションの条件で決まるインジェクション高さと呼ばれるスケールとよく一致すること、また、活発な化学発光領域から燃焼器長手方向下流に向かって衝撃波が伸びる、3次元的で、複雑な流れ場となっていることが確かめられた。一方で、圧力の時間平均値の軸方向分布からは、燃焼器内部の平均的な流れ場構造は、1次元定常流れの理論により説明されるものと大きな乖離がないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の欄で述べた通り、おおむね当初の計画に基づいて研究を進められているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2020年度)は、今年度(2019年度)の研究により明らかとなったデトネーションエンジンの燃焼場および流れ場構造を踏まえ、デトネーション燃焼による壁面への熱負荷に関する検討を進める。
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Causes of Carryover |
既存の設備・物品による新たな研究の進捗があったため、そちらにエフォートを割り当て、新規の物品の導入を先送りした。今年度使用する予定である。
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Research Products
(6 results)