2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the quantitative evaluation of fuel fragmentation for safety of hybrid rocket propellants
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19K15212
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 晶世 日本大学, 理工学部, 助教 (70821792)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハイブリッドロケット / 燃料粉塵化 / 安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイブリッドロケット燃料の粉塵化を評価するための破砕試験では、既往研究の成果から供試体の材質(靭性)・サイズ、爆薬質量が影響すると予測されるため、本研究ではこれらをパラメータとして計27の試験条件を設定した。ただし既往研究での再現性の課題に対応するため、各条件につき最低限3回の実施とした。 本年度は円柱形の供試体を爆発ピット内に設置して破砕し、破砕の模様を一部条件において高速度カメラで撮影した。試験条件は材質がポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、末端水酸基ポリブタジエン、サイズと爆薬質量が各3水準である。このうちポリプロピレンについては、各サイズ・爆薬質量9条件27回を終了し、ふるい分析による粒度分布取得も終了した。次にマイクロクリスタリンワックスについても、同様に27回の試験を終了した。粒度分布の取得が一部残っている。 ポリプロピレンでは粉塵とされる500マイクロメートル以下の破片はほぼ発生しないことが再現性をもって確認された。またサイズと爆薬質量の影響も確認された。一方、破砕試験での回収状況から、マイクロクリスタリンワックスではいずれの条件でもポリプロピレンより小さい破片の比率が高いことが確認された。取得済の粒度分布を比較しても、ポリプロピレンとマイクロクリスタリンワックスでは分布の形状に明確に違いが生じることが再現性をもって確認された。爆薬質量の影響も確認された。 一方、供試体材質の靭性を評価するための衝撃試験ではポリプロピレンおよびマイクロクリスタリンワックスの評価を実施した。靭性値がポリプロピレンよりもマイクロクリスタリンワックスで低い値となることが確認された。これによって低靭性物質で粉塵が発生しやすいことの裏付けが一つ得られた。これらの値に基づいて、粉塵質量を評価するための破砕モデルが修正された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画では2020年度中にHTPBの試験まで終了の予定であったが、コロナウィルス感染症の影響により作業が大幅に遅延し計画通りの進捗ができなかった。供試体の作成、破砕試験や衝撃試験の実施、ふるい分析等はすべて専用の設備や器具類の使用が必要であるが、所属大学や学外実験場への入構が制限されたために作業ができなかった。そのため在宅勤務中は高速度カメラ動画の解析や破砕モデルの修正等を進めた。現在は全体として1年程度の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も社会状況に鑑みて、2020年度と同様に進捗が難しい可能性がある。その場合は試験条件に優先順位をつけ、最低限の成果が得られるように対応する。例えば本研究で最も実施に時間を費やすのは破砕試験である。これまでのところ、マイクロクリスタリンワックスとポリプロピレンの破砕試験を通して、再現性はある程度確認できた。そこでHTPBに関しては再現性よりも爆薬質量やサイズの影響を優先して検証し、破砕試験の回数を低減することが考えられる。衝撃試験についてはこれまでと同様に実施する。以上のデータを用いてこれまでの破砕モデルを修正することを優先に研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症による計画進捗遅延のために当初使用予定であった物品費に残額が生じた。残存する破砕試験の実施のため、学外実験を実施するので、必要消耗品(ブルーシート等)の費用として使用予定である。
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Research Products
(1 results)