2019 Fiscal Year Research-status Report
自律運航船のための衝突リスクを考慮した計画航路選定の自動化
Project/Area Number |
19K15228
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
南 真紀子 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10415804)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自動運航船 / 避航操船 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動運航船の研究が進められており、日本でも2025年を目標に最終的な意思決定は乗組員が行うが高度に自動化された自動運航船の実現に向けた取り組みが進められている。この開発において衝突回避は重要な課題の一つである。避航操船には他船の動向予測など不確定な事象に対する判断が含まれており、避航技術が確立した場合でも危険な見合いが発生しやすい海域を避けて航行することは安全性の向上に効果がある。そこで本研究では、航海計画立案時にそのような海域を避けた計画航路を自動的に選定するシステムを構築する。 本年度、運輸安全委員会の報告書から2008年から2019年6月の間に発生した商船が関係した衝突事故のうち、船舶の緯度経度、針路、速度等が含まれるAISデータにより事故時の船位が把握できる事故を対象に、事故要因の分析を行った。対象となった事故は23件あり、見張りを行っていなかった4件および走錨による衝突した1件を除いた18件について検証した。その結果、操船者が相手船が自船の船尾を航過するなどの思い込み、相手船の避航を期待、相手船の操船意図が不明であったが無線等により相手船に確認しなかったなどのコミュニケーションの問題等により避航操船が遅れ事故が発生していた。また、避航操船は衝突の直前から2分前とかなり接近していたタイミングで実施されていた。なお、発生海域はふくそう海域、準ふくそう海域および港内でいずれも操船の難しさが指摘される海域である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自動運航船における避航操船アルゴリズムを、COLREGs等のルールへの遵守程度で評価する方法が提案されている。ルールベースでは2船間の距離が基準となることから、当所で開発した避航アルゴリズムを対象にルールベースで評価した場合のニアミスの判断等の検討についても本研究課題と並行して実施した。そのため、本課題を申請した際にはニアミスをOZTを用いて示すことを検討課題とし、本年度はOZTを用いた船舶の遭遇についてはAISデータによる交通流の解析により検討する予定であったが、完了しなかったためやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
OZTを用いたニアミスの評価法を検討する。また、その評価法を用いてふくそう海域、準ふくそう海域でのニアミスの発生地点を抽出し事故発生状況とGIS等を用いて比較する。また、発生状況から計算される衝突リスクの換算について検討する。なお、衝突リスクはニアミスや衝突の発生地点の確率密度分布から算出している。さらに、2019年度に検討したルールベースでの評価についても、自動運航船の評価に関係するため実海域のデータでの検証と実施する予定である。
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Causes of Carryover |
AISデータの解析および航路生成計算のため、計算機の購入と研究補助者を雇用を予定していたが、2019年度では新たな購入および雇用の必要がなかったため次年度使用額が発生した。2020年度ではAISデータの解析を実施し、また2021年度で航路生成アルゴリズムの開発を行うため計算機およびデータベース用ハードディスクを準備する必要があり購入する。また、データ分析のため研究補助員の雇用する。また、2021年度で実施予定の航路生成アルゴリズムの開発では、計算結果をタブレットで表示することを考えており、2020年度末には検討を開始したいため2020年度内にタブレットを購入する予定である。
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