2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K15229
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
深澤 良平 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80505107)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水槽試験 / 推進性能 / 波浪中性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料消費実績報告制度の導入が2019年1月から始まるなど、実運行時の燃費向上が求められている。推進性能の分野では、省エネ付加物による推進性能の向上が検討されているが、研究開発が進んでおりさらなる改善は徐々に困難な状況にある。一方、喫水に合わせた最適トリムを取る事による推進性能向上についてはあまり検討されておらず、改善の余地がある。研究代表者は、弊所の研究にて大型バルクキャリアー船で、平水中での喫水・トリムの変更が馬力に与える影響を調査し、最適なトリムを取ることにより、約2%の馬力改善が達成できる事を確認した。 本研究はその発展研究として、喫水・トリム変更が波浪中性能にどのような影響を与えるかを調査するために、波浪中の抵抗増加試験、荷重度変更試験を行い、実海域での最適な喫水・トリムで運航が行えるよう運航指標を作成する。 研究は2年計画で実施している。1年目では、基準のトリムと過去の研究にて省エネ効果が見られたトリム状態について波浪中抵抗増加試験を行い、トリム変更の影響を平水中と波浪中の違いについて評価を行った。 2年目は、波浪中荷重度変更試験を行い馬力の比較を行う。さらに、トリム変更は省エネ付加物の効果にも影響を与えることが知られているので、省エネ付加物の波浪中性能について評価を行う。また、実海域で最適な喫水・トリムで運行できるよう、性能について評価すための運航指標についても作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は2年計画で実施しており、1年目の進捗状況について報告する。1年目では、基準のトリムと過去の研究にて省エネ効果が見られたトリム状態(以下、最適トリム状態)について波浪中抵抗増加試験を行い比較した。 最初に平水中試験を行い過去の研究とのデータの再現性および波浪中試験装置の計測精度について確認を行い問題ないことを確認した。次に波浪中試験を行った。最適トリム状態は波浪中抵抗増加係数(KAW)が全体的に少し大きくなる結果を得た。波浪中抵抗増加係数は、平水中と波浪中における抵抗値の差分を無次元化した係数であることから、波浪による抵抗増加分も増えていると考えられる。運動を比較するとほぼ同等であることから、造波の影響について検討を行う。 過去の研究においても、最適トリムにすることで全体的に抵抗値自体は上がるが、自航要素の改善により最終的な制動馬力(BHP)が低減しているため、これらの波浪中で増加した分についても、2年目に実施する波浪中荷重度変更試験にて自航要素について評価を行う。 水槽試験の再解析および、VESTAでの計算が残っているがおおむね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の水槽試験を行ったのが3月であり、まだデータの整理および解析業務が終わっていない状況であるが、おおむね予定通りに進行している。 今年の11月に2回目の水槽試験を控えており、荷重度変更試験、省エネ付加物の荷重度変更試験を実施する。水槽試験は1週間を予定しているので、実験項目の選定を行い、水槽試験計画を立てる。また、省エネ付加物の荷重度変更試験も同時に行い、省エネ付加物の波浪中性能についても評価ができるようデータを取得する。
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Causes of Carryover |
水槽試験用の模型船を新規に作成予定であったが、既存の模型船を使用したため。
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