水中線状構造物の流体力及び動的張力の推定法に関する研究

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K15232
• Research Institution: National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology
• Principal Investigator: 石田 圭 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (60636827)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 水中線状構造物 / 動的張力 / 流体力

Outline of Annual Research Achievements

海底油ガス田開発に用いられる係留浮体を対象とした動揺シミュレーションの中で、係留索として使用されるチェーンやワイヤーなどの水中線状構造物に作用する動的張力が正確に評価されなければ、推定結果に誤差が生じる。具体例の一つとして、評価対象となる実機スケールの水中線状構造物に作用する流体力を正確に把握できていないという点が考えられる。本研究では強制加振試験により水中線状構造物に作用する流体力を計測し、データベースを作成する。その結果を用いて、ランプドマス法を採用した計算モデルにより、各質点の運動変位及び質点間に働く張力を求め、動的張力の推定法を開発する。
本年度は、昨年度実施した水中線状構造物模型の流体力特性の把握を目的とした強制加振試験結果より、模型両端に作用する単位加振振幅あたりの加振力の振幅、模型の付加質量、減衰係数に関する流体力データベースを作成した。
動的張力推定法に関して、計算モデルはランプドマス法を採用し、各質点の運動変位及び質点間に働く張力を求めるための推定法について検討した。また、次年度に実施を予定している2次元での流体力モデルの3次元挙動への適用限界、直径に対して長さが極端に長大なケーブル体等の円形断面の水中線状構造物へのMorison式の適用条件の検証等を目的としたカテナリー形状の強制加振試験に関して、試験計画を検討した。
本研究実績の一部を代表者が所属する海上技術安全研究所の研究発表会にて、ポスターセッションで発表した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

昨年度実施した水中線状構造物に作用する流体力計測試験の結果より流体力のデータベースを作成した。また、次年度に予定しているカテナリー形状の強制加振試験の試験計画を検討した。なお、次年度の試験で使用する模型及び試験治具等について、本年度中に製作する予定であったが、試験計画の検討に時間を要したため、製作を次年度に延期した。

Strategy for Future Research Activity

動的張力推定法に関して、引き続き検討を進める。また、動的張力推定法の計算結果検証のための強制加振試験について、試験で使用する模型及び試験治具を製作し、強制加振試験を実施し、動的張力推定法の計算結果を検証する。
最終的に本研究で実施してきた「水中線状構造物に作用する流体力のデータベース作成」、「動的張力推定法の構築」、「動的張力推定法の有意性の検証」についてまとめる。

Causes of Carryover

本年度に製作予定であった強制加振試験用の模型及び試験治具の製作に関して、試験計画の検討に時間を要したため、製作を次年度に延期した。そのため、模型及び試験治具の製作費用として次年度使用額が生じた。模型及び試験治具は次年度に製作予定である。