ガスエンジン排ガスからのCO2回収技術に関する基礎的研究

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K15234
• Research Institution: National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology
• Principal Investigator: 高橋 千織 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (40399530)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: CCS / ガスエンジン / 凝華

Outline of Annual Research Achievements

国際海事機関によるGHG削減戦略等を受けて、海事分野においてもGHG削減のための技術的開発、運航手法、政策的手法の導入が進められている。水素・アンモニアなどの脱炭素燃料の採用が将来的には期待されるが、エネルギー密度の低さから短・中期的には、炭素燃料の活用は避けられないものと思われる。このため、船上でのCO2回収の実現が望まれる。本研究では、経済性も考慮して、冷却・圧縮によるガス分離にCO2の凝華を利用する技術をガス燃料船に適用する方法について検討している。
R2年度はR1年度に設定したガスエンジンから排出されるCO2の60%回収目標を達成するため、CO2回収装置構成について再検討をおこなった。試験装置の設計では、排ガス中の水分および潤滑油由来の有機炭化水素分存在が大きな問題取っており、これらの効率的な除去のため、前処理システムをし設計し検討した。当初、排ガス配管系統の圧損の増大、メンテナンス等を最小とするため、一般的なフィルターを使用しない構造を複数検討した。しかしながら、現状では過冷却状態で核生成させた液滴をガス中から分離回収に十分なサイズまで粗大化する過程に課題が残る結果となった。このため、複数段階に分けて回収を行う必要があり、CO2分離の直前のプロセスにおいてフィルターを使用する装置構成について検討をおこなっている。
一方、CO2分離プロセスについては、ボンベガスを用いた模擬ガス実験を行うため、高圧タンク設計を行った。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

必要となる要素技術は明確となっているものの、特に脱水、高沸点炭化水素の除去などの課題に課題が残っている。新たにフィルターの利用などを検討中で、最終年度内には解決する予定である。

Strategy for Future Research Activity

今年度は今までの検討結果をもとにプロトタイプのCO2回収装置を製作し、回収実験を実施する。この実験の中で、各要素技術の課題を明らかにしていく予定である。また、エネルギー収支、経済性の問題についても検討する。

Causes of Carryover

2年度目の試験装置製作の予算について、課題解決できなかった部分があったため、最終年度に繰り越しすることとした。