2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research Productivity and Bureaucracy: Research Evaluation, University Organization, and Strategy of Researchers
Project/Area Number |
19K15239
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福本 江利子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (40835948)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 研究者 / 認識 / 行動 / 生産性 / 論文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、研究者にとっての研究生産性及び論文出版戦略の内実と、彼らを取り巻く環境・制度・文化がそれらに与える影響と過程を探求することであった。研究論文数などの生産性評価軸に依拠せず、研究者ら自身が研究および研究者についてもつ認識や経験に焦点を置いた。理論的な枠組みの検討に加えて、インタビュー調査とこれに基づく論文執筆、そして関連する学術と社会との関係についての学会発表と論文執筆に取組んだ。 最終年度である2022年度には、主に2つの活動に取組んだ。第一に、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業のひとつである「さきがけ」参加経験のある研究者23名に対して2021年度に実施済みのインタビュー調査をもとにした論文執筆である。この調査では、さきがけでの経験だけでなく、対象者らの研究や研究者についての認識や戦略に重点を置いた。なお、本研究開始時には研究の生産性や挑戦性に着目していたが、これを異なる角度から見る視点として凡庸性の概念に新たに着目している。この論文は当初の想定から投稿が遅れているが、2023年5月の国際会議での発表をふまえて国際誌への投稿を目指す。第二に、この調査過程で、戦略的創造研究推進事業内のプログラムでの領域総括等経験者らへの追加調査の着想を得た。2022年度に学内の倫理審査を経て調査を開始し、年度内に5名へのインタビューを終えており、本事業終了以降も調査を継続する。これらに加えて、研究や研究者及び大学の社会におけるあり方についての根底的な検討として、公共的価値と科学技術推進、社会のなかの人文学・社会科学、そして大学に存在するレッドテープに関する研究を、学会や研究会で発表しながら進めている。本研究での知見は、学術的な貢献だけでなく、関連する政策や大学組織の現場への示唆につながるものである。
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Research Products
(4 results)