2021 Fiscal Year Research-status Report
運転支援システムの導入による行動変化の心的メカニズムの解明:視覚的注意の観点から
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19K15245
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
紀ノ定 保礼 静岡理工科大学, 情報学部, 講師 (00733073)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運転支援システム / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトの目的は、運転支援システムや自動運転技術が交通環境に導入された際に生じる認知や行動の変化を定量的に明らかにすることであった。コロナ禍により実験計画に変更が生じたことから、2021年度にはレベル1自動運転(ACC: Adaptive Cruise Control)使用時における視覚的注意の特性について理解することを目的に、実験を行った。 自動化レベルが上昇するにつれて、特定の条件が満たされている限りにおいて、ドライバーは運転以外の作業を副次的に実施することが可能になる。ただし、副次的作業のなかには認知的な負担が大きなものもあり、運転中の注意配分や操舵に影響を及ぼす可能性がある。 近年、コロナ禍におけるオンライン会議の充足によって、運転中にオンライン会議に参加する人が存在するようになった。2021年度においては、運転中のオンライン会議参加が、運転中の視覚的注意や運転行動の安全性に及ぼす影響を、ドライビング・シミュレータを用いた実験によって検証した。実験参加者は、オンライン会議を模した音声を運転中に聴取するとともに、その内容を要約し、自身の意見を述べた。すなわち、ラジオのように音声を一方的に聴取するわけでも、会話のように交代制で聴取と発話を繰り返すわけでもなく、実際の会議に類似した作業に従事しながら、運転を行った。その結果、運転中のオンライン会議参加は、検出すべき標的に対する反応を遅延させることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度においてもコロナ禍の影響があり、想定したスケジュールより計画が遅れている。2021年度は予備実験を繰り返しながら、ドライビング・シミュレータの環境の整備を行っていったが、実験参加者の募集が芳しくなく、想定よりも実験の実施に時間がかかった。しかしながら上述の通り、実験を実施し一定の成果を得ることが出来たため、本成果に基づき2022年度に実験を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、当初の予定通り、運転中の視覚的注意パターンを、眼球運動計測によって定量的に明らかにする予定でいる。2021年度の実験では、標的の検出成績によって運転中の注意特性を検証したが、2022年度にはより直接的に視線パターンを測定することにより、運転支援システムや自動運転技術の使用による、ドライバーの認知・行動の変化を総合的に理解することを目指す。 またこれまで得られた知見を総合し、消費者に対する過信を招かない公告方法などについても検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による実験の遅れや実験参加者の募集が芳しくなかったことが主たる原因。次年度は主目的である眼球運動計測を実現させるため、計測装置を購入の上、実験を実施する。
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Research Products
(3 results)