2021 Fiscal Year Research-status Report
新興国に見られる二次元混合交通の車列順制御を用いた流れ改善
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19K15246
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
長濱 章仁 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (40822797)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 2次元車種混合交通 / 車両の群れ / 偏析現象 / 安定車列 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は研究計画に基づき、交通内部における速度追従の関係をネットワークで表現した、追従ネットワーク内に存在する頻出サブネットワークの抽出を行った。これは、2020年度に明らかになった、車列内での車両タイプ(バイク/自動三輪車/乗用車/大型車)の分布偏りを、タイプの順序と数を以てより具体的に表すものである。 結果、大型車以外のすべての車両タイプの車両が、自車両タイプで頻出サブネットをつくる、つまり群れを成すことが定量的に明らかになった。さらに{バイク-大型車}/{三輪車-乗用車}/{乗用車-大型車}のそれぞれの組合せからなる車両群が群れを成しやすく、{バイク-三輪車}は成しにくいことも明らかになった。これは2020年度の解析から示唆された「車両タイプの分離が、似た特性の粒子が集まる『偏析現象』だけでは説明できない」ことを明瞭に示す結果である。さらに興味深い点は、検知された頻出サブネットワークの取りやすい形状や大きさが、各車両タイプによって異なる点であった。例えば三輪車は先頭から広がりをもつ「くさび」型の群れを作りやすい一方、バイクは群れの先頭に多くの車両が集まる「逆くさび」型を形成しやすかった。以上の結果と、歩行者交通流の知見を組み合わせることで、車両タイプ毎に他車両との相互作用の取り方が異なることが示唆された。 加えて、2021年度には、最適化手法を用いた安定性の高い車列の探索を共同研究先と共に開始した。本研究では、Evolutionary Algorithm(EA)を基礎とした最適(安定性の高い)車列順の探索手法を試用した。探索の際に用いる評価関数は、各車両タイプを含んだ車列を与えた際に得られる「交通密度-速度」プロファイルを用いて、車列の「効率と渋滞しにくさ」を定量的に表現するものである。結果、1次元の車列ではあるものの最適車列を求めることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り頻出サブネットワークの検出が終了した。また安定車列の探索も制限があるものの成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020/2021年度の研究では、a) 頻出サブネットワークの種類が交通状況によって変化する、b)車種の分離が車両の大きさだけでは説明できない、c) 最適車列の探索が「定常状態の交通」という状況に限られる、といった問題が見られた。2022年度はこれらの問題に取り組む。また2次元における最適車列探索のためには、シミュレーションが必要であることがわかったが、そのシミュレーションに用いる車列生成モデルの提案にも取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、旅費の使用がなかったため次年度使用額が生じた。 2022年度は状況によっては旅費を使用するとともに、2021年度の研究から明らかになった必要な検討項目に対して、実験の追加/計算機の能力拡充により対応する予定である。
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Research Products
(2 results)