2020 Fiscal Year Research-status Report
自然環境保全と防災に資する詳細な地形データを用いた地すべり斜面の抽出と危険度評価
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19K15257
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鄒 青穎 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (40750055)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地すべり / 危険斜面 / 地すべりの活動履歴 / 変位計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は白神山地における地すべり地を対象に、GNSSを用いて本格運用を開始した2019年9月3日から2020年11月11日までの全期間の3次元変位連続計測をした。解析成功解(Fix解)の中で、観測数が480以上のデータを採用し、その中で平均値からの残差が2σ以内のデータを使用した。なお、解析成功率は約15%と低い値となり、「原因として」観測点の上空視界が樹木等に遮られていることが考えられる。G1観測点では、①積雪・融雪期を挟んだ2019年9月3日~2020年5月31日の期間において,北方向へ5.5cm、西方向へ11cm、沈下方向へ1.6cmの変位と②2020年6月1日以降の期間において、南方向へ1.6cm、東方向へ3.3cm、隆起方向へ1.6cmの変位が計測された。G2観測点では,2020年6月1日以降の期間において、南方向へ3.3cm、西方向へ0.5cm、隆起方向へ8.2cmの変位が計測された。G1の①時期における変位は積雪(年最大深積雪深約125cm)・融雪に起因すると考えられ、水平合成で12.3cm程度の累積変位量が計測され、変位方向はN63°Wであった。また,G1とG2の2020年6月1日以降の計測期間中に50㎜/日を超える降雨時に特に変位の急激な増加は認められないが、計測期間の約5ヶ月を通じてそれぞれ水平合成で3.7cmと3.3cmの累積変位量が計測された。一方、観測点の変位の標準偏差が大きいものの、観測点の立地条件は上述の上空視界の悪さや基準点との距離に制約されることを踏まえ、計測された変位量は標準偏差と比較しても有意な大きさであると判断できる。さらに、過去に生じた地すべりの履歴の解明について、炭素年代測定や樹木年輪年代学的手法により復元し、その年代値を歴史記録と対比することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査はほぼ計画どおりに達成でき、目標としていた微地形検出手法の検討やGNSS解析等もおおむね完了した。成果の一部は査読論文の投稿や学会発表において公表する予定がある。一方,昨年度の課題を依然として残っており、作業時間の確保が難しかったために、GISを駆使して自動的に行う、広範囲な変動斜面の微地形判読が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書に記載したとおり、令和3年度以降は地すべり発生箇所での地すべり活動履歴や地すべりの変動の把握等の解析を進めていく。また、令和元年度や2年度の調査研究により、樹木の伐採や地盤の調査には大きな制約がある自然環境保全地域では、GNSS観測手法が地すべりの時系列歪量観測に有効な可能性があることが確認されたものの、観測点の変位の標準偏差が大きい(緯度方向(X):4cmから7cm、経度方向(Y):10cmから13cm,高さ方向:11cmから16cm)との課題が見いだされた。その「原因として」計測精度が樹木等の上空障害物などに制約されることが考えられる。今後は、観測手法の改良やその適用性の評価を引き続き検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
地形・地すべり解析としてツールボックス購入費を計上していたが、今年度は解析に必要なツールボックスは公開されている無料のものを使い行うことができたため、計上しなかった。 地形解析のために衛星画像購入料、その実行としてのソフト購入費を計上する。また,現在準備中の論文投稿に関わる投稿料に支出予定である。また,国内の学会参加費も支出予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Possible explanations on the formative processes of the Tsugaru-Juniko landslide, northern Japan2020
Author(s)
Tsou, C.-Y., Higaki, D., Yamabe, K., Kiriu, T., and Sasagawa, T., Numata, S.
Organizer
European Geoscience Union
Int'l Joint Research
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