2019 Fiscal Year Research-status Report
地震波干渉法解析による強震動評価のための地下構造イメージング
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19K15262
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
地元 孝輔 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (40713409)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地震波干渉法 / イメージング / S波速度構造 / 自己相関 / 強震動 / 微動 / グリーン関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
活断層調査および都市の深部地下構造調査では、大規模な人工震源を用いた反射法地震探査が行われている。しかし、都市部での調査は困難でありまた高度な技術である。そこで自然に発生する微動を用いることで、地下構造イメージを疑似的に得る手法を開発することで安価かつ手軽な地下構造調査の実用化を目指す。今年度は、既存の地震観測網により蓄積されている強震動を用いて、地震波干渉法を応用することで地下構造イメージを擬似的に得るための基礎的な検討を行った。特にデータ解析において、理論と観測値に基づいて適切な処理方法を提案したことで、手法の標準化に役立てられた。また、既存の地下構造モデルを用いて数値実験により擬似的な地下構造イメージを推定した。地下構造モデルの違いにより、反射波の到達時間がサイトによって異なり、自己相関関数が徐々に変化することがイメージから推定できる。また数値実験から、広帯域の記録を用いることで、表層地盤から地震基盤までの堆積層による反射波を合成できることがわかった。一方で観測記録からはいまのところ限られた帯域が合成されているため、どの層境界からの反射波であるかを特定することが重要であることもわかった。既存の観測記録から推定された自己相関関数と比較し、理論値と整合していること、地域によってモデル修正の必要性があることが明らかになった。次年度は微動により堆積層反射波の合成を試みる。そのための微動データを取得するために現地調査を実施し、良質なデータを取得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の強震観測記録を用いて地震波干渉法による地下構造イメージングのための基礎的な検討を進めてきた。観測と理論に基づくデータ処理方法について考察を深め、自己相関によりグリーン関数の合成について理解を深めた。得られた知見は、今後、微動を用いた地下構造イメージングのための適用に役立つものと考えられる。また、今年度にテストサイトですでに取得したデータの品質は良く、今後の研究結果に期待がもてる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度に強震動へ適用した地震波干渉法を微動へ適用するための検討を行う。既存の連続地震観測記録を用いてデータ処理方法について基礎的な検討を行い、強震動による結果と比較して違いなどについて考察する。それによる知見を生かして、すでに取得している機動微動観測記録を用いて任意のサイトの地下構造イメージを試みる。当該サイトはすでにさまざまな物理探査が行われているため、既存の地下構造調査の結果と比較し、地震波干渉法によるイメージングの特徴について明らかにする。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通り予算を執行して研究を遂行したが、現地観測が予定よりも順調に進んだためそれにかかる経費が少し削減された。残額は次年度の現地観測の予算に充てる。
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