2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K15265
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤原 覚太 東海大学, 工学部, 助教 (40824925)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 岸壁 / 模型実験 / 安価 / 空気袋 / 杭 / 堤防 / 補強 |
Outline of Annual Research Achievements |
背面に砂地盤が緩く堆積しているような壁構造の場合、地震が発生すると地盤が液状化し、壁構造に強い力が作用するため壁構造が損傷する。この損傷を小さくするため、さまざまな工法が提案されており、本研究では、経済性を重視し、安価であっても対策効果(地震による被害を小さくする)が見込めるような工法を探索している。 安価化をキーワードに、今年度は3つの点に絞り、以下に示す通り取り組んだ。なお、1つ目2つ目は、壁構造「を」守る工法である。3つ目は壁構造「が」、他の構造物を守る場合について、である。 1つ目は、壁構造の背面に、安価な材料として空気袋(エアバッグ)を埋め込む工法を提案した。模型実験を通じて、地盤が液状化することで、エアバッグが浮上し、空間が生じるため、壁構造に作用する外力が小さくなる結果を得た。これにより壁構造の損傷・変形が抑制されることとなった。一方で、課題として、実機への適用もさることながら、エアパックが浮上するためには、大きな浮力が生じるよう大きな体積を有する必要があり、より小型なものでも効果を得られるよう工夫が必要である。 2つ目は、壁構造の背面に、杭を1列設置した構造で、これを対象に模型実験を実施した。従前構造では、杭を複数列設置するものであったが、本研究では安価化を目的に1列にまで本数を削減した。本数を減らしたことで液状化対策効果は低減したものの、小さな地震に対しては一定の効果を発揮した。また大きな地震に対しては相当数の杭は必要であるとの再確認をした。 3つ目について、堤防を補強するため、堤防法尻に壁構造を設置する工法がある。この補強材としての壁構造に着目し、安価化のため、壁構造の鉛直方向の長さを短くしても、一定の対策効果を有することを数値解析により確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスに伴う制約(出校制限・陽性者発生に伴う自宅待機など)を受け、特に複数人必要とする実験の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで構造安価化をキーワードに、網羅的に実験的検討を重ね、効果的な構造の傾向を把握してきた。その結果、下記のような課題を見出した。今後の研究方策は、以下を解決することである。 ①空気袋を使う場合:施工方法が未想定、維持管理が難しい、耐震効果を発揮するには相当数の空気袋が必要となる ②杭を使う場合:今日想定されているような大地震に対しては、相当数の杭が必要となる ③壁構造を補強材として使う場合:解析結果は充実したが、実験的な検討が不足している
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Causes of Carryover |
国際学会への出張を予定していたが、新型コロナウイルスにより実施できず、残額が生じた。令和3年度についても出張は少なくなると想定されるため、実験器具を充実させるなど、臨機応変に対応する。
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