2021 Fiscal Year Research-status Report

エージェントアプローチによる災害時観光客への情報提供手法の構築に関する研究

Research Project

Project/Area Number	19K15267
Research Institution	Josai University
Principal Investigator	酒井宏平城西大学, 現代政策学部, 助教 (20826945)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords	帰宅困難者 / 避難行動
Outline of Annual Research Achievements	2020年度に引き続き、観光客の避難、観光客の帰宅に関する研究を実施した。観光客の帰宅に関する研究では、自然災害後の観光客の帰宅・滞在意図に影響を与える要因を明らかにするとともに、効果的な観光客帰宅支援フレームワークを開発することを目指した。過去に実施した調査データを用いて、災害時観光客の行動意図について決定木分析を行った。その結果、「年齢」、「性別」などの属性が観光客の行動意図に影響を与えることがわかった。さらに、若年層は全員が帰宅することを希望しているわけではなく、高齢者も全員が被災地に滞在することを希望しているわけではなく、その行動意図は、過去の訪問回数や事前情報の有無など、さまざまな要因が複合的に合わさって変わることが明らかとなった。避難に関する研究では、前年同様に、観光客を対象としたサンプリング調査とエージェントモデリングを組み合わせた手法を用いて、観光客の行動ルールを抽出した。避難時には、何か１つの要因や情報だけが行動に影響を与えるわけではなく、複数かつ同時にさまざまな影響を受けていると仮定して、複数状況の組み合わせを考慮した避難行動ルールの抽出を試みた。その結果、「経路幅」、「経路誘導に関する誘導の有無」、「外国人観光客であるかどうか」、「歩行経験」、「他の観光客の経路選択」などが，経路選択に影響を与えていることが明らかになった。これらの要因を考慮した観光経路の設定、避難場所の設定、それらの実現のための工夫の必要性とともに、シミュレーション実験の必要性を明らかにした。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、学生を対象としたシミュレーション実験の実施を延期することとなったものの、本科研費の企画の目標達成までの準備はすでに整っているため。
Strategy for Future Research Activity	今後、シミュレーションを用いた実証実験を行う予定である。また、成果発信として、日本地域学会や日本シミュレーション&ゲーミング学会などの大会を予定している。
Causes of Carryover	新型コロナ感染拡大により、予定していたシミュレーションを用いた実証実験が延期となったため。シミュレーションに必要な素材や謝金として使用する計画である。