2019 Fiscal Year Research-status Report
磁気変態に伴う拡散速度変化に着目した耐熱鋼の新しいクリープ強化概念の確立
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19K15277
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 重人 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (00804741)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クリープ / 磁性 / 拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究では、15mass%Crを含有するフェライト鋼について、Co添加による磁気特性の変化とクリープ強度の関係を調べた。 X線回折法による格子定数測定とビッカース硬度測定より、6mass%までのCo添加は室温での固溶強化および析出強化にほとんど寄与しないことを確認した。ただし、650℃から750℃の範囲では、Co量の多い鋼ほどクリープ強度が高いため、Co添加がクリープ強化に有効であった。このクリープ強化はCo添加による磁気特性の変化に伴う拡散速度の低下によって説明可能である。室温から800℃程度の温度範囲でCo量の増加に伴う鋼の体積磁化の増加が確認された。 Coの量が異なる鋼の体積磁化の違いとクリープひずみ速度の比を比較すると、これら両値の間に明確な相関関係が見られた。すなわち、体積磁化の差が最大となる温度でクリープひずみ速度比のピークが観測された。この結果は以下のように説明される。両方の鋼の磁化が大きい低温領域またはキュリー点を超える高温領域では、両者のクリープ強度に大きな違いはないが、一方の鋼のみが強磁性を失い、もう一方の鋼が強磁性を維持する温度では、強磁性域と常磁性域での拡散速度の差に起因してクリープ強度にも大きな違い生じたと理解される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を上回って、2019年度内に2020年度までに達成予定であった内容の検証についてすでに完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた知見を活用し、磁気特性の変化に伴う拡散速度低減に対してより効果的な化学組成と微細組織に関して検討を行う。具体的には、4元系以上の多元系合金において合金元素の種類や添加量の比率が磁気特性および拡散速度に及ぼす影響について検討する。また、磁気特性変化に伴う拡散速度変化と微細組織の関係について、フェライト単相鋼の結晶粒径やマルテンサイト単相鋼の粒界密度・転位密度を変化させた材料を用いて検討する。
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Research Products
(1 results)