2019 Fiscal Year Research-status Report
バルク状Mgに生成する特異的内包MgH2生成メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K15278
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
近藤 亮太 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (60709088)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 異種金属間接合 / 欠陥 / 内包MgH2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、内包MgH2(MgH2(int))の生成メカニズムを明らかにするために、異種金属元素による欠陥導入、H供給パスの解明と局所的水素解離触媒蒸着による異方的H供給が及ぼすMgH2(int)生成起点への影響の2つを明らかにする。 Mgから高効率にMgH2を得るための手法を模索していたところ、水素化後に残留したMg内部にMgH2が生成することを見出した。このMgH2(int)は水素ガスや表面のMgH2(sur)と直接界面を持たず生成するため、縁部と内部双方から水素化を実現できる可能性を秘めており、水素実容量の高容量化へ寄与する。初年度は、異種金属元素による欠陥導入を中心に研究を進めた。その結果、MgH2(int)の生成がMg結晶粒界上で観察されることから、MgH2(int)とMg結晶粒径との関係を調べた。そして、Mg結晶粒径を制御し、MgH2(int)生成頻度との関係を調べたところ、Mg結晶粒径が小さくなるほど、MgH2(int)生成頻度が高くなることがわかった。 MgH2(int)の成長は、試料全体がMgH2(sur)で覆われると止まること、Hの拡散速度はMgH2中よりもMg中が10桁程度速いことから、金属Mg中のHが拡散することで達成されるものと予測していた。そこで、MgH2(sur)の生成頻度を低下させれば、MgH2(int)の粗大化が見込めるのではないかと予測し、予測通りの結果を得た。また、MgH2(int)粒径の経時変化とMgH2(sur)によって試料表面が覆われるまでの時刻との関係は一致しており、予測したメカニズムで説明できることがわかった。異種金属間接合の影響については、Mg/AZ合金の拡散対を作製することで調べた。その結果、MgH2(int)の生成はAZ側では認められず、Mg側での生成する結果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、異種金属元素による欠陥導入、H供給パスの解明を目標としていた。Mg/AZ合金拡散対を作製し、拡散の影響を調べた結果、Alの拡散とMg中の合金化元素固溶度がMgH2(int)生成に影響を与えていることを明らかにした。計画通り、欠陥を導入することでMgH2がどのように生成するのか、明らかにすることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、次年度に予定している、局所的水素解離触媒蒸着による異方的H供給が及ぼすMgH2(int)生成起点への影響を明らかにする。そのため、マグネトロンスパッタ蒸着装置を導入し、研究を進める。前年度に既に当該装置は導入しており、試用することでどこまでの範囲の実験ができるか実験を進めた。NiやFeなど酸素活性の高い金属種に関しては現状の装置ではスパッタ蒸着中に酸化され、膜形成することが不可能であったが、計画していたPtやPdに関しては膜形成が可能であることがわかった。そこで、水素分子解離活性能の高いPtとPdをMg表面に蒸着することで、MgH2(int)生成に及ぼす影響を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
当初計画していたスパッタ蒸着装置が減額によって購入不可能となった。そのため、分析を中心に進め、目標が達成されるように計画を練り直した。その結果次年度にMS関連の部品を導入する必要が発生したため、繰り越す判断をした。
|
Research Products
(4 results)