2019 Fiscal Year Research-status Report
特異環境場を利用したナノドメイン形成機構の解明と制御
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19K15282
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白石 貴久 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (50758399)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 相形成メカニズム / バッファー層 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、歪と温度による特異環境場を応用した組織制御とその形成メカニズムの解明を目的として行った。 歪を利用するために、固溶量の異なる蛍石型酸化物バッファー層を検討した。ベース材料としてHfO2およびZrO2を検討し、それぞれに対してCeO2の添加量を変えた。どの組成においてもYSZ単結晶基板にエピタキシャル成長し、固溶量が10%を超えると、正方晶相で構成された単相膜となることを明らかにした。そこで、CeO2を50%固溶したエピタキシャルバッファー層(厚み10nm)の上に、(Hf0.5Zr0.5)O2薄膜(厚み30nm)を堆積したところ、HfO2およびZrO2を母相としたどちらのバッファー層上においても、(Hf0.5Zr0.5)O2薄膜はエピタキシャル成長した。しかし、X線回折測定の結果には大きな違いが観察され、(Hf0.5Ce0.5)O2バッファー層上にのみ(Hf0.5Zr0.5)O2に起因した回折ピークが観察された。そのため、バッファー層種によって結晶相が変化することが明らかとなった。 結晶化処理による相形成メカニズムを明らかにするために、結晶化条件の異なる薄膜に対してX線回折測定と電子顕微鏡観察を行った。その結果、結晶化温度の上昇に伴い、アモルファスから正方晶相を経て直方晶相が形成されることを明らかにした。また、結晶化時間の増加に伴って直方晶相の体積分率が増加することも明らかにした。 以上より、結晶相制御における歪と温度の影響に関する知見を得た。これらは、結晶相を制御する上で非常に重要であり、二つの特異環境場を組み合わせることで、結晶相やドメイン構造を自由にデザイン可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、特異環境場の中でも歪と温度が結晶相の形成に与える効果を明らかにした。これは当初の目的範囲に入っていることから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、歪量の制御によって、ドメイン構造が制御可能であるかについて検討する。また、次年度の目標である三つ目の特異環境場である電界を印加した際のドメインダイナミクスについて取り組む。
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Causes of Carryover |
(理由) 原料粉末など一部の消耗品について、前年度で購入した残りと所属先で購入して頂いた分で足りたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 当該年度で消耗品類を使い切ったので、これらを次年度に購入する計画である。
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Research Products
(4 results)