2019 Fiscal Year Research-status Report
新規結晶構造・特異的配位多面体歪を有する白色・赤色蛍光体の無容器プロセッシング
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19K15284
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福島 潤 東北大学, 工学研究科, 助教 (80634063)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蛍光体 / 無容器プロセッシング / 準安定相 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、無容器プロセッシングによる白色・赤色新規蛍光体材料の創製を目指し、急冷による準安定相の創出を行っている。今年度は、La-W-O系新規準安定相の合成条件を明確にするため、La2O3-WO3擬二次元相図における、WO3約80 mol%の共晶組成付近において、組成を変化させて合成実験を行った。共晶組成よりWO3リッチの条件では既知の結晶構造しか得られず、そのサンプルは蛍光を示さなかった。一方、La2O3リッチ側では比較的安定にunknown相が生じ、白色蛍光を示した。これを800 ℃でアニールすると、unknown相は消失し既知の結晶構造を持つLa-W-O系酸化物となった。このことから、このunknown相が過冷却によって得られた準安定相であると推定した。また、上記組成検討実験から、unknown相は共晶組成より若干Laリッチであると推定されるが、未だ単一相は得られておらず、完全な組成決定には至っていない。また、このunknown相を含む試料は既知の蛍光体であるCaWO4と比較して赤色成分の大きな白色蛍光を示す。ブロードな発光であることから、W6+の電荷移動遷移型発光であると考えられる。この蛍光特性について詳細を明らかにするためにはunknown相の結晶構造同定が必須であり、現在Reitveld解析およびTEMによる解析などを進めている。また、より高温における材料探索と冷却速度のコントロールを実現するため、レーザー加熱により1900℃以上の高温を達成できる装置に、二つのハロゲンランプをセッティングしたハイブリッド炉を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
La-W-O系新規準安定相の合成し、既知の蛍光体であるCaWO4と比較して赤色成分の大きな白色蛍光体を創生できており、その結晶構造決定のための実験も順調に推移している。また、レーザー加熱により1900℃以上の高温を達成できる装置に、二つのハロゲンランプをセッティングしたハイブリッド炉を完成させることができ、次年度に計画していたアルミナ系の材料合成の遂行が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
高温対応可能なレーザー・ハロゲンランプ加熱型無容器合成装置を用いて、種々のカチオンを置換させ発光波長の制御を行う。また、全く新たな蛍光体を創生するため、無容器合成で新規ガラスの合成報告があるAl2O3系に取り組む。
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Causes of Carryover |
実験は順調に推移したが、予定していた実験治具が年度末まで使用可能であったため、本年度の購入を見送った。翌年度、消耗した実験治具を購入・交換予定である。
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