2022 Fiscal Year Annual Research Report
結像型X線ナノCT観察によるセラミックスのマルチスケール焼結プロセスの解明
Project/Area Number |
19K15289
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大熊 学 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 研究員 (70838945)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 焼結 / 放射光X線CT / 欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は以下の成果を得た. 1)放射光X線CTを用いて不均質な構造をもつ脆性材料内部の複雑な3次元亀裂構造を調査した. マイクロCTでは複雑な亀裂系全体の構造を, ナノCTでは亀裂の詳細な形状を観察した. これにより, 結晶化ガラスの高靭性は、亀裂偏向や湾曲が要因であることを明らかにした. 今後は, X線CTで不均質構造をもつ強靭化材料:ガラスセラミックスだけでなく, セラミックス, 金属や複合材料の表面下亀裂形態の多様性を系統的に調査できるような展望を示した. 2)X線CTとSEMを使用して, サブミクロンアルミナ粉末(TM-DAR)の常圧焼結中に, 残留気孔の不均一な分布が粉末成形体の初期構造からどのように変化するかを調査した. マイクロCTでは複雑な亀裂系全体の構造を観察し, ナノCTでは亀裂の詳細な形状を明らかにした. 常圧焼結によっても大きな凝集体の内部には, ほぼ完全に緻密化した構造を得ることができる. 放射光X線CTはSEMでは識別できない欠陥の不均一な分布を広い領域で検知するのに強力な手法であることを示した. 3)理論的にも, 小さな空隙や欠陥は収縮するが, 成形段階で形成された粗大欠陥を常圧焼結で除去することは困難である. そこで, 通電加圧焼結SPS中にどのように気孔と欠陥の形状が変化・消失していくかを観察した. SPS30MPa後には顆粒の三重線に沿った三角形の隙間から形成されたロッド状欠陥が観られた. 50MPaでは分裂によって消滅した. SPS50MPa後も小さな複雑な気孔や潰れた楕円体の多孔質領域は残留した. SPS50MPaでは常圧焼結後に見られたような亀裂状欠陥は取り除くことができた.
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