2020 Fiscal Year Annual Research Report
金属有機構造体(MOF)の配向薄膜によるサーマルマネージメント
Project/Area Number |
19K15292
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡田 健司 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30750301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機-無機金属構造 / Metal-organic framework / 異方的熱輸送 / 自立膜 / 熱拡散率 / 配向 / エピタキシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、結晶性かつ多孔性の有機-無機金属構造体(Metal-organic framework: MOF)を用いた異方性熱輸送材料の開発を目指した。まず、熱拡散率の測定に十分なサイズのMOF配向自立膜の形成手法の確立を行った。配向した水酸化銅ナノベルトの自律膜を足場としたエピタキシャル成長手法により3種類のMOF自立膜Cu2(BDC)2, Cu2(BPDC)2及びCu2(1,4-NDC)2(DABCO)の作製が可能となった。合成溶液にモジュレータを入れることで、MOF結晶が離散的に分布した配向薄膜や、MOF結晶が連続的に繋がった配向薄膜の合成が可能となった。面内方向の熱拡散異方性を測定した結果、結晶が離散的な試料においては熱拡散に異方性は確認できなかった。熱輸送のパスが断続的で有ることに起因すると考えられる。一方、結晶が連続的な試料においてはMOFの格子構造に依存して熱拡散に高い異方性が確認できた。今回の研究において、格子構造に異方性が最も大きなCu2(BPDC)2では、面内方向の優先熱輸送方向に約1.6倍高い熱拡散率を示すことが明らかになった。MOFが異方的な熱伝導を示すことは計算で示されてきたが、今回、初めて実験的に異方的な熱拡散を示すMOF配向薄膜の合成を達成した。また、今回の研究により、MOF配向自立膜においては、MOF結晶の配向性だけでなく、結晶間の連続性やMOFの格子構造も熱拡散挙動に影響することが明らかとなった。今後、MOFの細孔内に熱輸送特性の高い有機分子や高分子を規則的に導入することで異方性熱輸送特性の向上が期待できる。
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Research Products
(11 results)