2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノワイヤーを利用した高性能異方性ナノコンポジット磁石の開発
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19K15300
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山本 将貴 長崎大学, 工学研究科, 助教 (00631409)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノコンポジット磁石 / 磁性金属ナノワイヤー / 水溶液電析法 / 規則不規則変態 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の電子機器や今後普及が期待されている電気自動車などで必須の機能性材料である磁石材料において、希土類は主要な構成元素となっている。しかし、近年の元素戦略の観点から、希土類を使用せずにNd-Fe-B系磁石並みの磁気性能を有する永久磁石を実現することが求められている。その候補の一つに、一方向にそろったナノサイズの硬磁性相と高い飽和磁化をもつ軟磁性相を有する異方性ナノコンポジット磁石がある。従来のナノコンポジット磁石においては、硬磁性相をナノサイズ化することは達成されているが、その配向性は等方的であるため、理想的な磁気性能を実現できていない。そこで本研究では,硬磁性相として磁性金属ナノワイヤーを用いて、これを一方向に配列させる手法ならびに軟磁性合金との複合化手法を開発し、高いエネルギー積を有する異方性ナノコンポジット磁石を実現することを目的とした。令和元年度は、研究目的の一つである「高保磁力を有する合金ナノワイヤーの作製条件の解明」に取り組んだ。硬磁性合金としてL10型規則相において高い保磁力をもつFePd合金に注目し、水溶液電析法によるFePd合金ナノワイヤーの作製法の確立を目指した。具体的には、FePd合金が高い保磁力を有するL10型規則相を形成するような組成であるFe-50~60 at.%Pdに再現性良く電析できるような条件を見出した。また、FePd合金をL10型規則相に変態させるための熱処理に関して、そのカイネティクスを明らかにした。得られた成果に関して、日本金属学会2019年秋期講演大会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究は、[1]高保磁力を有する合金ナノワイヤーの作製条件の解明,[2]ナノコンポジット磁石の性能を最大化するような合金ナノワイヤーと軟磁性合金の複合化手法の開発である。1年目に[1]をおおむね達成することができ,計画通り2年目には[2]に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,ナノコンポジット磁石の性能を最大化するような合金ナノワイヤーと軟磁性合金の複合化手法の確立を目指す。加圧含浸法を用いて硬磁性合金ナノワイヤーの集合体と軟磁性合金を複合化させることにより異方性ナノコンポジット磁石を作製する。含浸圧力やテンプレートと合金の置換方法などの複合化達成のための条件を確立させる。
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Causes of Carryover |
当初の使用計画では,物品として磁場中熱処理炉あるいは小型高周波誘導加熱装置の購入を予定していたが,後者の方が優先度が高く,場合によっては新規に設置が必要であると想定していた。しかしながら,現状装置のアップデートのみで済んだことにより差額が生じ,次年度使用額が発生した。次年度は,熱処理炉や貴金属を含む金属素材などの購入を計画している。
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