2019 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of hydrogen ab/desorption properties of complex hydride on the basis of lithium ion conduction mechanism
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19K15304
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 祐貴 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00787153)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 錯体水素化物 / リチウムイオン伝導材料 / 水素貯蔵材料 / h-BN / t-BN / c-BN / ボールミリング / 交流インピーダンス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、錯体水素化物のミリング粉砕および窒化ホウ素(BN)複合化によるリチウムイオン伝導向上機構の解明のため、構造の異なる窒化ホウ素(BN)とリチウムアラネート(LiAlH4)の複合物質のリチウムイオン伝導度を交流インピーダンス法により評価した。 まず、LiAlH4を2時間ミリング粉砕することで、イオン伝導度が300倍程度向上することが分かった。ミリングによりイオン伝導の活性化エネルギーには大きな変化がなかったため、キャリア密度の増加による伝導度向上が生じたと推察される。また、六方晶窒化ホウ素(h-BN)、乱層構造のBN(t-BN)、立方晶BN(c-BN)を、それぞれLiAlH4とボールミリングにより複合化した結果、t-BN複合物質が室温で最も高いイオン伝導度を示し、活性化エネルギーも最も低い値を示した。t-BN複合物質の複素インピーダンスプロットより、界面伝導に起因するイオン伝導成分が検出された。また、固体核磁気共鳴測定より、BNとのミリングにより、LiAlH4以外にリチウムボロハイドライド(LiBH4)が生成することが分かった。LiBH4はh-BN複合物質でも生成していたが、t-BN複合物質の方がその生成量は多かった。よって、活性化エネルギーの減少は、LiAlH4とt-BN間での界面伝導の発現やLiBH4の生成によるものと考えられる。t-BN複合物質の組成分析では、ミリングによるステンレス成分の不純物はほぼ検出されなかったが、c-BN複合物質では多量のステンレス成分が検出された。よって、c-BN複合物質では、ステンレス成分による電子伝導の寄与が無視できないものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LiAlH4のミリング粉砕によるイオン伝導度向上や異なる構造のBNが伝導度に及ぼす影響を精査することができた。イオン伝導度の評価に加え、粉末X線回折(XRD)、フーリエ変換型赤外分光(FT-IR)、固体核磁気共鳴(NMR)、走査透過電子顕微鏡(STEM)による解析も行うことで、BNとのミリングによりLiAlH4のAlはBに置換されてLiBH4が生成することや窒化ホウ素のBのエッジ部は水素で終端されることが示唆されるなど、イオン伝導機構解明に繋がる結果を得ることができた。以上のことから、1年目においては、計画していた試料作製や特性評価を概ね遂行できたと判断するが、機構解明のためには今後更なる実験について検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
LiAlH4/BN複合物質のイオン伝導機構について、引き続き検討を行う。具体的には、複合物質中のLiBH4の生成量の制御による伝導度向上やLiAlH4/LiBH4複合物質との伝導度の比較を行うことで、機構解明を目指す。 また、リチウムイオン伝導度が錯体水素化物の水素吸蔵・放出特性に及ぼす影響の解明のため、イオン伝導度の評価に加えて、水素吸蔵・放出特性についても調査する。これまで使用していたBNに加えて、溶媒中で剥離したBNナノシートや炭化ホウ素(B4C)を錯体水素化物に添加することで、イオン伝導度の制御を試みる。
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Research Products
(6 results)