Study on the redox reaction of high-potenteial positive electrode generated in the solid-state batteries

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K15313
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 猪石 篤 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (10713448)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: ナシコン / 全固体電池

Outline of Annual Research Achievements

鉄系ポリアニオン化合物を中心に、電気化学的に電極が生成する全固体電池の充放電試験を行った。電池の作製方法、特に電池の集電体を最適化することで良好に充放電ができることを明らかにした。また、充放電には焼結体の緻密性が極めて重要であることを明らかにした。本研究で使用する電池は電極が集電体との接合面から電気化学的に生成し、緻密な材料でないと電気化学的なパスが切断されてしまうため、特に緻密性が重要である。使用している鉄系ポリアニオン化合物では非常に焼結性が良く、サイクル特性が良好である。2020年度においてはレドックス元素の特定を行う予定であり、エックス線吸収やメスバウアー分光の測定準備を行ったところである。また、計算科学による状態密度計算も行う準備を進めている。
全固体電池で使用する高電圧な正極材料の開発を目指し、上記以外にもいくつかの化合物の合成を試みた。その中で、Na3Cr2(PO4)2F3の合成に成功し、4.7V（対ナトリウム金属）のナトリウムイオン電池用高電圧正極として利用できることを見出した。計算から、本材料は２個のNaの挿入脱離ができる可能性が示唆されているが、実際には可逆的なナトリウムイオンの数は１個にも満たない特性しか得られていない。可逆容量は充放電レートにもかなり依存していることからも、不可逆性には電解液の分解が多分に影響している可能性が高いため、2020年度には全固体電池化を行い、可逆的な充放電ができるかを検証する予定である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

電池の作製について最適化が終了した。酸化還元する元素の特定を行うため、メスバウアー分光やエックス線吸収の測定準備を整えた。
また、新たな高電圧正極材料を見出し、高電圧な全固体電池構築の準備が進んでおり、順調に研究が推移しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後は、電池の酸化還元種を特定するため、メスバウアー分光やエックス線吸収を測定するとともに、計算科学による状態密度計算もとりいれる予定である。

Causes of Carryover

当初購入予定だった電気化学装置や電気炉は、研究室で保有していたものを流用したため、物品費が大幅に圧縮された。想定より進捗が進んだため、人件費を圧縮した。