2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K15315
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
小野寺 礼尚 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 准教授 (80758540)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 強磁場効果 / 原子拡散 / 組織制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではこれまでFe,Tiによる拡散対を作製し強磁場中で熱処理することで相互拡散における強磁場効果の起源解明を目的として課題を遂行してきた. これまでに,19Tの磁場中で熱処理をすることでTi中のFe原子の拡散が大きく抑制されていることを見出している.昨年度はこの磁場効果は強磁場印加による拡散係数 の減少であると考え,拡散係数の磁場依存性を調査した.その結果,印加磁場13Tでは拡散係数の減少はわずかであり,19T印加に比べその効果が非常に小さいことが明らかとなった. そこで,磁場が熱力学エネルギーとして寄与する他に,磁気エントロピーの減少をもたらすことも検討する必要性を見出した. 今年度は,Feの磁化測定の結果をもとに磁場印加による拡散現象に対する磁気エントロピーの寄与を評価すると共に,拡散対を構成する純金属ペアをFe,Coとした拡散対を作製,磁場中熱処理をすることで,磁性の異なる金属のペアでの強磁場効果について調査を行った. その結果,わずかにFe中のCo原子の拡散が磁場印加により促進されることが明らかとなった. また,Feにおける磁気エントロピーについては,Feのα-γ変態における磁気的エントロピー変化をもとに,この変態のエントロピーの19Tまでの磁場依存性から見積りを行った.その結果,磁場中拡散現象に対する磁気的エントロピーの寄与は存在するものの,活性化エネルギーへの寄与に比べると小さく,両者を考慮しても実験結果で得られた大きな磁場効果を十分説明することが困難であることが明らかとなった.
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