2019 Fiscal Year Research-status Report
超音波温度モニタリングに基づくレーザ積層造形材の組織形成の解明と制御
Project/Area Number |
19K15317
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
草野 正大 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 研究員 (60822583)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Additive manufacturing / Selective laser melting / Ultrasonic testing / Temperature monitoring / Titanium alloys / Nickel superalloys / Finite element method |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,超音波を用いて積層造形(Additive manufacturing,3D printing)プロセスにおける造形材内部の温度モニタリングをおこない,溶融・凝固および相変態による組織形成メカニズムを明らかにする.サーモグラフィなどの材料表面の温度場計測とは異なり,超音波振動の解析により積層造形プロセスにおける材料内部の温度場を計測する点に新規性がある.なお,計測の対象は,これまで自ら研究をおこなってきた選択的レーザ溶融法(Selective laser melting, SLM)におけるTi-6Al-4V材およびNi基超合金内部の温度場を予定している. 本年度は,積層造形プロセスのような複雑な温度場を有する材料を対象とした,超音波伝播シミュレーションを確立した.SLMプロセスでは,レーザ走査によって原料粉末を溶融・凝固させて任意形状部材を作製するが,瞬間的かつ局所的な加熱によって材料の温度が複雑に変化する.一般に,材料の音速は温度に依存するため,超音波の伝搬挙動もレーザ走査による温度場の影響を受ける.この複雑な超音波伝搬挙動を,熱解析による温度場と温度依存の物性値を与えることで,有限要素法で再現した.さらに,実際の温度場を有するNi基超合金材料で超音波伝搬を計測し,数値解析結果と比較することで,シミュレーションの妥当性を確かめた. この超音波伝搬シミュレーションを確立したことで,積層造形プロセスの超音波モニタリングに適した探触子・センサの配置や周波数などを,計算上で効率的に探索することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初定めた計画に沿って研究を進めている.2019年度は,積層造形プロセスのような複雑な温度場を有する材料を対象とした超音波伝播シミュレーションの確立が当初の目的であり,これは「研究実績の概要」でも述べたように順調に達成された.したがって,上記の達成度区分とした.
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Strategy for Future Research Activity |
超音波による温度計測においては,初年度に確立した超音波伝播シミュレーションとは逆に超音波信号(入力)から温度場(出力)を得るため,いわゆる逆問題を解くための適切なモデルを構築する.そこで,シミュレーションの温度場と超音波信号を用いることで,実験の試行錯誤をすることなく効率的に,このモデル構築をおこなうことができる.本研究では複数の探触子による超音波計測をおこなうため,その配置や周波数などの設置についても,モデル構築と合わせて最適化する.
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Causes of Carryover |
非破壊検査関連の国内学会への参加を予定していたが,別プロジェクトの国際学会招待講演と重複してしまい,参加が適わなかった.また,材料関連の国内学会に参加したが,会場が近辺であったため,旅費が少額で済んだため.差額については,本年度の学会参加もしくは論文投稿費用など,研究成果を広く公開するために用いる予定である.
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