2019 Fiscal Year Research-status Report
アルミニウム合金の時効処理による強度と剛性の同時強化
| Project/Area Number |
19K15320
|
|---|
| Research Institution | Yokohama National University |
|---|
Principal Investigator |
岩岡 秀明 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (90751496)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
| Keywords | アルミニウム / 剛性 / 時効処理 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
アルミニウム(Al)合金は軽量で比強度が高い一方で剛性が低く、その改善が望まれる。本研究では拡散係数の異なる二種類の溶質原子を添加したAl合金に対して時効処理を行い、拡散係数の速い溶質原子からなる析出物を高体積率で分散させて剛性を向上させ、もう一方の拡散係数の遅い溶質原子からなる析出物を微細に分散させて強度を向上させることで、剛性と強度の同時強化を図る。熱処理の温度や時間の条件を変えて時効処理を行い、その時の剛性や強度といった機械的特性と析出物などの微細組織の関係を調査することで最適な時効条件の探索を行う。
本年度はAl中の拡散が早いCuとLi、拡散の遅いZrを含んだ2099合金に対して種々の温度で時効を行い、硬さおよびヤング率の測定を行った。硬さは時効時間とともに増加していき、ピーク強度を示した後に減少した。一方、ヤング率は溶体化処理後の値が純Alのものよりも高く、固溶原子によってヤング率が大きく増加することが分かった。その後の時効によるヤング率の増加は小さかったが、これは時効に伴う固溶濃度の減少によるヤング率の減少と析出物の形成によるヤング率の増加が相殺された結果であると考えられる。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2099合金のヤング率測定の結果から、ヤング率は試料内に固溶しているLi濃度に大きく影響を受けることが分かった。特に、溶体化処理中には試料からLi原子の流出が起こりやすいため、それを防ぐための熱処理条件の探索をまず行うこととなり、研究の進捗がやや遅れた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
硬さやヤング率の変化に寄与した析出物および固溶原子についてXRD分析およびTEM観察から調査する。また、ヤング率と硬さを同時向上させるための最適な時効条件を決定するために、TEM観察から得られた時効初期の微細組織を初期組織として、フェーズフィールド法によって時効中の微細組織の変化についてシミュレーションを行う。
|
| Causes of Carryover |
当初はビッカース硬度計の購入を物品費として計上していたが、２年目の実験を行うにあたって新たに試料を購入する必要が出てきたため、そちらに予算を回すために硬度計の購入を控えたため。
|
Research Products
(2 results)
