2019 Fiscal Year Research-status Report
シミュレーション技術とモニタリング技術の融合による品質保証型溶接システムの開発
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19K15323
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
荻野 陽輔 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30778262)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | ガスメタルアーク溶接 / アークプラズマ / 溶融池 / インプロセスモニタリング / 視覚センサ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
ものづくりにおける溶接施工の高品質・高効率化にむけて，溶接前の試行錯誤的な条件選定工程や溶接後の検査・試験工程の低減を達成するために，数値シミュレーション技術およびインプロセスモニタリング技術を融合し，溶接の物理に基づいた「品質保証型溶接システム」の構築を目的として研究を行っている．
令和元年度の実績として，数値シミュレーションにおいては溶接施工におけるアークプラズマおよび溶融電極ワイヤの挙動を可視化する溶接熱源モデルに関して，より適用範囲の広い3次元シミュレーションモデルを構築し，溶融電極ワイヤの挙動によってアークプラズマの特性が大きく変化すること，ならびに不安定な溶滴挙動について可視化，検討を行った．これらの特性は，溶接部の品質に対して強く影響を及ぼす溶融池の挙動と密接に結びついている．インプロセスモニタリング技術においては，視覚センサにおける光学フィルタの影響について考察した．シミュレーションモデルとインプロセスモニタリング技術を連携させた取り組みとして，V開先継手における初層裏波溶接を対象とし，視覚センサによるモニタリング結果とシミュレーション結果の比較・検討を行った．溶融池形成モデルによるシミュレーション結果は，視覚センサによるモニタリング結果を再現することができていた．シミュレーションモデルにおいては，溶融池内部の流動現象などを可視化することも可能であり，溶融池表面における溶融池形状の変化と溶融池内部の挙動の関係性について検討を行い，最終的な溶接部品質に対して影響を及ぼしているプロセス中の因子について検討を行った．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションシステムの開発においては，溶接熱源モデルと溶融池形成モデルのベースは構築が完了しており，実際の溶接施工において対象となりうる種々の継手形状や溶接姿勢にも対応ができるものとなっている．これらの溶接熱源と溶融池形成のシミュレーションモデルを連携させる取り組みを行っており，溶接条件の入力から溶接結果を再現することができている．視覚センサを用いたインプロセスモニタリング技術の開発に関しては，モニタリングに用いる光学フィルタの選定など，モニタリング条件の選定を行い，明瞭に溶融池の形状などといった情報をモニタリングすることができている．また，画像処理プログラムの開発も開始しており，溶融池形状の形状の変動などといった特徴量を定量的に取得することができた．シミュレーションモデルとインプロセスモニタリング技術を連携させた取り組みとして，V開先継手の初層裏波溶接を対象として，モニタリング結果とシミュレーション結果の比較，検討を行った．シミュレーション結果における溶融池形状はモニタリング結果を再現することができていた．シミュレーション結果においては，視覚センサによって直接取得することが困難である溶融池内部の挙動についても可視化することが可能である．本研究の対象においては，溶融池表面の形状と溶融池内部の流動には相関関係がみられ，これらが最終的な溶込み形状といった溶接品質につながっていることが示唆された．
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| Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションシステムに関して，開先溶接やすみ肉溶接などといった種々の継手形状や溶接電流波形など実際の溶接施工において対象となりうるものに対して溶接熱源および溶融池形成モデルの適用を試み，アークプラズマや溶融電極ワイヤの挙動，母材への入熱分布などといった溶接熱源の特性や溶融部の形成，流動，凝固の過程などといった溶融池形成現象を可視化するとともに，これらを連携させることで，より広範囲なターゲットに対しても溶接条件から溶接結果を予測可能となるようなシミュレーションシステムの構築を行う．また，溶融池形成シミュレーションモデルを活用して，溶融池表面における溶融池の形状や温度分布といった特性と，溶融池内部の温度分布や流動現象などといった特性の関係性について，定量的な評価を行い，最終的な溶接品質に影響を及ぼす因子（溶融池特徴量）について明確なものとするとともに，インプロセスモニタリングの指針を提示する．さらに，ここで得られた指針をベースとして，視覚センサにより溶融池表面情報を画像として溶接中に取得し，溶融池特徴量を抽出する画像処理プログラムと合わせて，溶接プロセス中に溶接品質の判断が可能なインプロセスモニタリングシステムの構築を行う．以上のシミュレーションシステムおよびインプロセスモニタリングシステムを合わせて，溶接プロセスの前後にある試行錯誤的な条件選定プロセスおよび溶接部品質の検査，試験プロセスを低減可能な高品質・高効率な溶接システムとする．
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