2020 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ひずみ加工で鉄を有効活用した高強度・高導電性アルミニウム合金の開発
Project/Area Number |
19K15324
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
増田 高大 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 日本学術振興会特別研究員 (60838639)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 巨大ひずみ加工 / 固溶 / 時効析出 / 高強度 / 高導電性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、直径100mm・幅3mmの Al-2wt%Fe合金に3 GPaの高圧下で高圧ねじり(HPT)加工を施し、均一ひずみが導入されたリング状試料の作製を試みた。その結果、通常鉄はアルミニウム中に0.05wt%しか固溶しないものの、わずか1回転で1wt%を過飽和に固溶させることができた。その後、温度473 Kで時効することで時効硬化を生じ、引張強度は最大で730 MPaとなった。結晶粒はHPT加工の回転数の増加とともに微細化され、1回転後では170 nmへ超微細化できた。組織解析は高輝度X線を用いたその場観察法も取り入れて進めた。時効中の析出状態や転位密度変化をその場解析することで、作製した超微細粒組織は良好な熱安定性を有することが分かった。4探針法による電気抵抗測定の結果、0.25回転材は53 IACS%の高導電性を保持しつつ引張強度320 MPaとなった。時効後は360 MPaへ向上し導電性もさらに改善し、強度・導電性の同時向上が達成できた。わずか0.25回転でも特性改善が図れることから、本研究ではワイヤー状試料の連続加工法についても開発を行った。連続加工法は従来のContinuous HPT法をもとに、新たに金型に試料挿入口・取出口を設け、直径3 mmのワイヤー状試料を2本同時に加工できるよう改良を施した。その結果、0.25回転施すことで相当ひずみ25の巨大ひずみが導入でき、結晶粒の超微細化が可能となった。また線材の繰り返し曲げ試験による疲労特性評価の設備を整え、実用的観点からの評価も可能となった。
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Research Products
(7 results)