2020 Fiscal Year Research-status Report
単一的な微小多孔質構造を有する複酸化物電極の湿式作製法の開発
Project/Area Number |
19K15329
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Research Institution | Kyoto Municipal Institute of Industrial Technology and Culture |
Principal Investigator |
紺野 祥岐 地方独立行政法人京都市産業技術研究所, 京都市産業技術研究所, 次席研究員 (60774643)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アノード酸化 / 陽極酸化 / めっき / 多孔質 / 酸素電極 / スピネルフェライト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではめっき法とアノード酸化法という簡便な湿式表面処理の組み合わせによる多孔質酸化物電極の作製を目的とする。本手法では,蜂の巣状の単一的な多孔質構造を自己組織的に生成できることから,一般的な作製過程における粒子の凝集や多孔質構造の複雑化を抑制することにより,電極の比表面積を効率的に向上させることが期待できる。本研究課題では,特に酸素還元/酸素発生反応(ORR/OER)用電極への応用を目指して,めっき法によりアノード酸化基材表面の組成制御を行うことで,触媒活性な多孔質アノード酸化膜を形成させる手法を探索する。また,この多孔質アノード酸化膜の多孔質構造を変化させた際の電極の有効表面積の変化と活性への影響についても明らかにする。 本年度は,異なるNi組成のFe-Ni合金めっき膜においてアノード酸化及び熱処理を行い,生成した多孔質膜のORR/OER特性を評価するとともに,透過形電子顕微鏡(TEM)観察により,多孔質膜の構造をより詳しく調べた。その結果,Fe-Niめっき膜上に生成する多孔質膜は,市販の溶製Fe-Ni合金のアノード酸化及び熱処理により生成する多孔質膜とは異なるナノ構造を有していることが明らかとなった。最終的な多孔質ナノ構造の違いを決定付ける因子は現在不明であるため,引き続き検討を行う。 本年度はまた,溶製純鉄のアノード酸化により,異なる多孔質構造を有する酸化鉄膜を作製し,これらのORR/OER特性を評価することで,多孔質膜のポア径及びポア長さが電極特性に及ぼす影響についても検討を行った。その結果,ポア径はポア内部への反応物の拡散性に寄与し,ORRにおいては一定以上の大きさのポア径が,多孔質構造の効果的な利用に必要であることが示唆された。ポアの長さは,ある程度までは電極表面積の増大に寄与するが,一定以上の長さでは,電極特性の向上には寄与せず,場合によっては電極の性能を低下させることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化物の組成だけでなく,ポア径,ポアの長さなど,多孔質電極の各要素が電極特性に及ぼす影響について,明らかとなってきた。従って研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き多孔質構造の各要素が電極特性に及ぼす影響について検討するとともに,Fe-Niめっき膜のアノード酸化で得られた特徴的なナノ構造を有する多孔質膜の生成メカニズムについても明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,参加を予定していた学会がオンライン又は次年度に順延となり,当初予定していた学会参加費及び旅費分を使用しなかったため,次年度使用額が生じた。 今後は順延となった学会参加費に使用するほか,実験用の物品費にあてることで,研究の効率化を図る。具体的には一部試料のTEM観察の外注,膜物性測定用治具作製の外注などに用いる予定である。
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Research Products
(4 results)