2021 Fiscal Year Annual Research Report
無電解めっき法によるインバーFe-Ni合金の成膜プロセッシングと内部歪の制御
Project/Area Number |
19K15330
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Research Institution | Kyoto Municipal Institute of Industrial Technology and Culture |
Principal Investigator |
山本 貴代 地方独立行政法人京都市産業技術研究所, 京都市産業技術研究所, 主席研究員 (60745206)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熱膨張制御 / 無電解めっき / インバー合金 / Fe-Ni |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄-ニッケル(Fe-Ni)合金は、合金比率によりその線膨張係数(CTE)が1~13 ppm/Kの範囲で制御可能な実用合金としてユニークな特性をもつ。これまで、低熱膨張(インバー)特性を示すFe-Ni合金について、無電解めっき法を用いた新たなプロセッシングの開発を行っている。しかし、成膜の制御が困難なため、成膜過程を明らかにする研究はほとんどなされていない。本研究では、無電解インバー合金めっきの析出反応プロセスおよび薄膜の内部歪発生および加熱時の熱応力挙動について明らかにする。 今年度は、昨年度に検討した約2倍の析出速度の向上が見込まれためっき条件の析出過程および膜の物性について明らかにした。めっきの析出速度の向上させるめっき条件として、Fe2+の酸化によるFe3+の生成に伴うめっき速度の著しい低下が懸念されるため、高いpHや反応温度に設定するよりも、めっき浴に新たにグリシンを添加することを試みた。錯体安定度定数からめっき条件であるpH10での金属錯体の存在比を算出したところ、グリシンはほぼNi2+と錯体を形成していた。電気化学的な評価からNi-グリシン錯体はめっき速度を向上させることが判明しており、そのため、全体としてインバー合金めっき膜の析出速度が増大したと考えられる。 また、得られた膜の成膜応力や熱応力を評価し、微細構造と関連付けた。グリシンの添加によって、膜の粒は微細化し成膜応力が増大した。加熱による組織・構造の変化は認められなかったため、室温から300℃まで加熱・冷却した際の熱応力変化は、無添加の場合と同様に小さな値を示した。さらに、インバー膜は、Ni-B合金膜よりも低いCTE値を示した。 以上のことから、無電解インバー合金めっき膜は、高密度実装の信頼性を高める熱に対する寸法安定性の高いメタライズ膜として使用が期待できる。
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Research Products
(1 results)