2019 Fiscal Year Research-status Report
二機能性触媒を超臨界CO2-イオン液体二相系で活用するバイオマスの選択的水素化
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19K15347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
郭 海心 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (00828048)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バイオマス / 二機能性触媒 / 水素源 / イオン液体 / 水熱炭化 |
Outline of Annual Research Achievements |
化石資源の枯渇問題に加え,原子力発電の安全性が懸念される昨今,持続可能な社会の実現のために再生可能資源の高効率な利用が求められている。バイオマスは燃料や化学製品など幅広い用途に変換可能な有用資源である。バイオマス関連成分 (セルロース,ヘミセルロース, グルコース)は含酸素基を多く有しており、化学原料に変換する際に水素化を施す必要がある。バイオマス関連成分の触媒水素化は広く検討されている、そのほとんどは水素ガス存在下にて多段階を経た触媒調製であるため、効率を改善する余地がある。本研究では、第一段階として触媒開発、第二段階として反応系デザインを行うことでバイオマス関連成分を水素化しフラン・ラクトンとする効率的なグリーン化学プロセスを開発する。 本年度の研究は,バイオマス関連化合物の選択的水素化を可能とする遷移金属二機能性触媒の一段階調製法を開発する。本手法では触媒調製や前処理に水素ガスを用いないものとする。 触媒開発研究においては、これまでに-OH、-COOH等の官能基を有する酸性の炭素質材料と選択的水素化を可能とする遷移金属二機能性触媒を合成した。 分析研究においては、得られた触媒に対して表面観察や官能基同定等を通して材料特性の評価を行った。一段階で官能基(-COOH、-OH、-HSO4等)と遷移金属導入に成功した。 反応研究においては、触媒の活性評価においては、バイオマス由来物質の反応を検討し、水素供与体としてのギ酸分解反応とレブリン酸の水素化反応にて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、初年度では、第一段階として触媒開発、2年目では触媒作用の機能を明らかにする。 現在までは(1年目)、官能性触媒の合成と材料評価を行った。FT-IRスペクトルから官能基(-COOH、-OH、-HSO4等)の導入に成功したことが示唆された。また、XRDとXPSから遷移金属導入にも成功した。 予備の反応も行った:官能性触媒をフルフラールからレブリン酸エチルへの変換に使用し、その触媒活性を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した触媒を活用し,水素ガスを用いず、生成物分離が容易なワンポットでのバイオマス関連化合物の選択的水素化を可能とする反応系を開発する。イオン液体およびCO2共存下におけるバレロラクトン合成に際し,水素源としてガスではなく,ギ酸を使用したプロセスについて、フルフラールからレブリン酸エチルへの反応の検討する。さらに、触媒の再利用性について検討を行う。
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Causes of Carryover |
3月に化学工学会に参加する予定だったが、新型肺炎コロナウイルス感染症が流行したことにより、学会が中止になってしまい、計画していた旅費の使用ができなくなったため。
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