2019 Fiscal Year Annual Research Report
劣質鉄鉱石および副生炭材からの炭材内装鉱石製造と高速還元プロセスの確立
Project/Area Number |
19K15354
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 圭佑 北海道大学, 工学研究院, 学術研究員 (50835056)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 製鉄 / ゲーサイト / タール / 多孔質 / CO2 |
Outline of Annual Research Achievements |
製鉄業の高品位原燃料枯渇のため、低品位原料を用いた製鉄法が注目されている。ゲーサイトを主成分に持つ劣質鉄鉱石は300℃程度のか焼でナノ多孔質化し、その細孔中に炭素を導入した炭材内装鉱石は、鉱石・炭材の近接配置により高速還元が可能となる。 本研究ではFeOOHを主成分に持つ劣質鉄鉱石と副生炭材(タール)を組み合わせた炭材内装ゲーサイト鉱石を用いた高速製鉄システムの製鉄業への適用を想定し、(1)炭材内装鉱石最適作製条件の実験的な検討および(2)エクセルギー・CO2排出量の観点から提案システムの解析、をそれぞれ実施した。 (1)炭材内装鉱石最適作製条件の実験的な検討では、炭材内装鉱石作製条件(鉱石/タール比、熱処理条件)や原料鉱石径等を様々に変えて炭材内装鉱石を作製し、後の還元実験で得られる鉱石の還元率への影響を調査した。高い鉱石/タール比および低い熱処理温度ほど炭材内装鉱石中のC, H量が増加することに加えて鉱石細孔中への炭材充填率が上がり鉱石/炭材の接触面積が増加したため、還元率が向上した。また使用する鉱石径が大きいほど鉱石還元後の再酸化の抑制により還元率が向上した。 (2)エクセルギー・CO2排出量の観点から提案システムの解析では、従来高炉を使用した製鉄システムと本技術を利用した製鉄システムについて、エクセルギー(エネルギーの質を表す指標)および二酸化炭素排出量について比較をおこなった。エクセルギー効率は従来システムよりも4%向上し、二酸化炭素排出量は11%低減したことから、本システムは劣質原料を有効利用可能しながら、従来製鉄システムよりもエネルギー・CO2の観点から優れた製鉄システムであることが客観的に示された。
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