2020 Fiscal Year Annual Research Report
機能集積型金属ナノ粒子触媒によるカルボン酸からアルケンへの直接変換反応の開発
Project/Area Number |
19K15357
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 雄杰 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (00761412)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カルボン酸 / 脱炭酸 / アルカン / 脱水素 / アルケン / フェノール / 加水素分解 / 再生可能資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では再生可能資源である油脂などから入手容易なカルボン酸の脱炭酸脱水素反応によるアルケンの合成反応の開発を目的とする。前年度に種々の担持遷移金属触媒(Au、Pd、Cuなど)を用いたカルボン酸の脱炭酸脱水素反応を行ったが、いずれにおいてもアルケン生成物は得られなかった。しかし、研究を進めていくうちに、アルカンの脱水素反応が温和な条件下で効率よく進行し、選択的にアルケンを与えることを見出した。研究当初の目的こそまだ達成できていないが、高難度アルカン脱水素反応系を見出した点は注目すべき成果であるといえる。また、アルカンの脱水素反応はカルボン酸の脱炭酸脱水素反応において鍵反応であり、当初の研究目的に大きく近づけたと考えられる。一方で、再生可能資源の有効利用の観点から、研究対象を木質バイオマスリグニンに多く含まれるフェノール類の加水素分解反応に広げて触媒開発を行った。金属―担体協働触媒作用という共通コンセプトのもと、メタリン酸アルミニウム担持白金触媒を新たに開発した。本触媒を用いると、従来の触媒と比べて、類を見ない高活性及び高選択性を達成できた。また、本触媒系は幅広いフェノール類に適用でき、対応する芳香族炭化水素類が高選択的に得られた。本触媒は不均一系触媒として働き、活性の低下がみられたものの少なくとも5回の再使用が可能であった。触媒の改良による活性、寿命の向上により、リグニンの有効利用に大きく貢献できると考えられる。本年度は、主に反応機構に関する研究を行い、フェノールとメタリン酸アルミニウムの反応による表面phenyl phosphate種の生成が本反応の鍵であることが示唆された。本成果は英国科学誌「Nature Catalysis」に掲載され、表紙を飾ることになった。
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Research Products
(7 results)