2019 Fiscal Year Research-status Report
Introduction of different atoms into the metal nanoparticle surface and highly efficient transformation of organic molecules by their concerted catalysis
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19K15362
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
三浦 大樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (20633267)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PdAu合金ナノ粒子 / シリル化 / 塩化アリール / クロスカップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は機能性材料や医薬中間体として重要なアリールシランの効率的合成法であるハロゲン化アリールとヒドロシランのクロスカップリング反応を検討した。PdあるいはAuのみから構成されるナノ粒子を用いた場合、目的のアリールシランはほとんど得られなかったのに対して、PdAu合金ナノ粒子触媒を用いたところ反応が効率よく進行しアリールシランが高選択的かつ高収率で得られた。本PdAu触媒系に対してはさまざまな塩化アリールおよびヒドロシランが適用可能であり、対応するアリールシランが良好な収率で得られた。速度論的な反応機構解析を行ったところ、Pd上に求核的なアリール種が、Au上に求電子的なシリル種がそれぞれ中間体として形成されることで、単一金属の触媒系では実現されなかった効率的C-Si結合形成が起こることが分かった。 また1,6ジイン化合物の還元的環化反応について検討をおこなったところ、担持Pd触媒が還元剤としてギ酸アンモニウムを共存させることで高い活性を示し、1,3ジエン化合物を良好な収率で与えることがわかった。さらに本反応系にジエノフィルを共存させることによりワンポッドでシクロヘキセン誘導体を合成できることも明らかにした。この担持Pd触媒は反応後容易に生成物から分離することが可能であり、生成物の収率が低下することなく複数回の使用が可能であった。 また担持Au触媒が酢酸アリル誘導体のボリル化や芳香族C-H結合の直接シリル化に対して極めて高い活性を示し、それぞれ対応するアリルホウ素化合物やアリールシランを効率的に与えるなど、担持Au触媒種々のヘテロ原子導入反応に有効であることも明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は担持PdAu触媒を用いるハロゲン化アリールとヒドロシランのクロスカップリングの検討を中心に行なった。本反応に対する触媒および反応条件の最適化が順調に進み、計画通りに論文発表に至った。さらにPdナノ粒子触媒やAuナノ粒子触媒の新規な機能開発にも着手し、1,6ジイン化合物の還元的環化反応、酢酸アリル誘導体のボリル化、芳香族C-H結合の直接シリル化の進行を担持金属ナノ粒子を用いた検討の中では世界で初めて確認するなど当初の計画以上に研究が進行しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き担持金属ナノ粒子触媒の新たな触媒作用の開発を遂行する。これまでに担持金触媒が酢酸アリル誘導体や炭酸プロパルギルエステル誘導体のボリル化に高活性を示すことを明らかにしており、これらの反応における触媒構造の最適化、反応条件の最適化、基質適用範囲の調査および反応機構解析を詳細に検討する予定である。さらに、Auナノ粒子表面を金属酸化物で修飾した種々の触媒を調製し、その金属種、修飾量などが酢酸アリル誘導体のボリル化に対する触媒活性へ与える影響を詳細に検討する予定である。また昨年度に引き続きボリル化やシリル化などの有機分子に対するヘテロ原子導入反応を担持金触媒を中心に検討する。
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