2019 Fiscal Year Research-status Report
Site-specific lipidation of antibodies for immunoliposome-like anti-cancer drugs
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19K15369
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
高原 茉莉 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 助教 (40804563)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 両親媒性ペプチド / 抗体 / リポソーム / 脂質修飾 / 微生物由来トランスグルタミナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、高い薬物搭載量のリポソーム及び標的特異性に優れた抗体の利点を最大限に生かした、抗体を係留したリポソーム (イムノリポソーム) 開発に向けて、MTGを介した部位特異的に脂質化抗体を合成することである。本年度は、リポソームに係留しやすい脂質化ペプチド基質として、脂質として不飽和脂肪酸を有する不飽和脂肪酸融合ペプチド基質 (不飽和脂肪酸-G3S-RHK) を設計した。この基質配列は、塩基性アミノ酸R及びHと隣接することでMTGが認識可能なKを含み、RHK配列の親水性と不飽和脂肪酸の疎水性により両親媒性を示す。そのため、C18不飽和脂肪酸 (オレイン酸, エライジン酸, リノール酸) を含むペプチド基質においても均一水相中でと扱えるようにし、初期検討として、モデルタンパク質 (MTGが認識可能な疎水性アミノ酸に隣接するQを含む高感度緑色蛍光タンパク質: LQ-EGFP) と高効率なMTG反応を可能とした。得られた不飽和脂肪酸-EGFPは細胞膜と高い接着性を示すことから、リポソームへの安定した係留性能を有することを確認し、不飽和脂肪酸-EGFP単体で、血中の輸送タンパク質の一種であるアルブミンと相互作用可能なことも確認した。以上より、モデルタンパク質においてのMTG反応による脂質修飾の最適化、脂質二重膜への係留性能、血中でのアルブミンとの相互作用を評価し、乳がん細胞に過剰発現したHer受容体と相互作用するHer2抗体、がん細胞の一部に過剰発現するc-Met受容体へと結合可能なc-Met抗体への脂質化ラベル条件の最適化を現在行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来の研究計画では、初年度に抗体への脂質修飾最適化を終える予定であったが、抗体へ高効率な脂質修飾を行うには、過剰量の脂質化ペプチドを添加する必要があるため、水溶性が高い且つ脂質二重膜へと相互作用可能な脂質化基質の再設計が必要となった。そのため、疎水性が高く脂質部位の柔軟性が高い不飽和脂肪酸を用いることで、比較的水溶性が高く脂質二重膜へと係留可能な不飽和脂肪酸融合ペプチド基質とし、過剰量のペプチド基質を添加できるように、本年度は工夫した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に最適化した不飽和脂肪酸融合ペプチド基質を用いて、本年度は抗体ラベルの最適化を行い、脂質化抗体の精製までを行う。抗体ラベル条件は、初期検討にて多量に条件をスクリーニングする必要があると判明したため、電気泳動でまずは多検体を解析し、RP-HPLCで詳細な反応率を詰めるという流れで効率的にMTG反応条件最適化を行う。不飽和脂肪酸融合ペプチド基質を用いても90%以上抗体が脂質化する条件が模索できない場合、脂質化ペプチドのG3Sリンカーをポリエチレングリコール (PEG) に変更して、MTG反応が進行するようにする、もしくは80%程度の脂質修飾率の抗体でin vitro検討を行う。In vitro検討で用いる抗体は、主にc-Met抗体とし、モデルがん細胞は、c-Metを過剰発現した細胞株SNU-5、c-Met非発現株SNU-1を使用する。脂質化抗c-Met抗体を薬剤内包リポソームに係留したイムノリポソームを、c-Met陽性の SNU-5及びc-Met陰性の SNU-1に投与し、c-Met受容体依存的な細胞毒性を検証することまで行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、参加予定の学会、実験に関する出張・その実験実施が年末中止となったため、次年度使用額が生じた。本年度は学会および学外への出張が可能となり次第、昨年度実施予定だった実験を実施し、可能な限り当初の研究計画通りに使用する。
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