2019 Fiscal Year Research-status Report
ヘリカルナノシリカを原料とする一次元秩序制御を必要としない透明複屈折材料の創成
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19K15376
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 豊 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (20794465)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キラリティ / 分子集合体 / ナノ構造構築 / 光学異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の計画通り、螺旋状分子集合体を形成する自己組織性分子の合成、分子集合体の構造評価、ヘリカルナノシリカの作製を中心に研究を進めた。今回、自己組織性分子として、ジェミニ型カチオン性両親媒性分子(16-2-16 tartrate)を合成した。得られた化合物を水中で会合させることにより、螺旋状分子集合体を形成させ、形成した螺旋状分子集合体を鋳型として用いてヘリカルナノシリカを作製した。分子集合体およびヘリカルナノシリカの形態評価は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察にて行った。分子配向や原子配列に関する光学特性評価については、紫外可視吸収(UV-vis)、円二色性(CD)、FT-IR、振動円二色性(VCD)スペクトル測定を用いた。 また、ヘリカルナノシリカのライブラリ化の一環として、屈折率制御を目指した各種金属イオンの複合化を試みた。分子集合体表面におけるシリカ被覆後、ジェミニ型カチオン性両親媒性分子の対イオンとして各種金属含有アニオンによるイオン交換を試みた。その結果、興味深いことに、イオン交換後の各種金属含有アニオンにおける誘起CDが観測された。特に塩化金酸イオンを用いた場合は、CDを誘起させた後に還元剤を添加することにより、ヘリカルナノシリカ内部に誘起CDを示す金ナノ粒子が得られた。 以上の通り、本年度は当初の計画に従って、ヘリカルナノシリカの作製および評価を実施した。さらに、各種金属含有アニオンの複合化を通して、ヘリカルナノシリカ内部に光学活性な金ナノ粒子の作製にも成功した。外部への研究報告については、学術論文3報および国内外の学会発表10件にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画としての「ヘリカルナノシリカの作製を通して、鋳型の螺旋状分子集合体の分子配列とSiおよびOのキラルな原子配列の関係について明らかにすること」に加えて、光学活性な金ナノ粒子を作製するという、当初の予定を上回る結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の研究計画に従い、ポリマーとの複合化により、ヘリカルナノシリカ成型体を作製する。また、本年度の研究によって明らかになり始めた「ヘリカルナノシリカのVCD信号とSiおよびOの原子配列との関係」について、量子化学計算を取り入れたより詳細な調査を進める。
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