2019 Fiscal Year Research-status Report
リン脂質膜の相転移用いた標的認識型ハイドロゲルフォトニックセンサー
Project/Area Number |
19K15378
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
内田 紀之 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 特別研究員 (20782204)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フォトニック結晶の作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においてはリン脂質からなる動的フォトニック結晶を作成し、リン脂質膜の相転移を利用した高感度の構造色変化を利用したセンサーの開発を目的としていた。初年度においては、リン脂質膜フォトニック結晶における作成法の最適化、および刺激応答性に関する基本的な性質を評価を行なった。 まず、動的フォトニック結晶における作成条件を最適化するため、市販のリン脂質の鎖長や電荷、作成条件などを変化させた。その結果、アニオン性電荷を持ち、相転移温度が高いホスファチジルグリセロールを用いた場合に、高品質の動的フォトニック結晶が作成可能であることが明らかになった。さらに、その動的フォトニック結晶の分散液の温度を変化させたところ、リン脂質膜の相転移付近の温度において、動的フォトニック結晶より生じる構造色が変化することを見出した。この温度変化による構造色変化は極めて鋭敏に起こり、わずか1~2度の温度変化で100nm以上の波長が変化した。このような鋭敏な応答性を示す構造色材料は今までに例がなく、次年度の高感度フォトニックセンサー材料の設計に向けて有用な知見である。 さらに、センサーへの応用を志向し、様々な分子の添加に対する構造色の変化を評価した。その結果、リン脂質膜と相互作用するようなコレステロール、アニソダミン、エタノールを添加した場合に、温度変化の場合と同様に極めて鋭敏な構造色の変化が観察され、この動的フォトニックがセンサーとして利用可能であることを示すことができた。 また、使用するリン脂質の皮膚に対する投与し、ウェアラブルセンサーとして利用するにあったっての生体適合性が問題ないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、フォトニック結晶の作成に必要の要素を精査することができ、その成果に関して学会発表を行い、論文投稿に向けて準備を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、初年度の知見を基に高感度なフォトニック結晶センサーの開発を進める予定である。
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Research Products
(5 results)