2021 Fiscal Year Research-status Report
リン脂質膜の相転移用いた標的認識型ハイドロゲルフォトニックセンサー
Project/Area Number |
19K15378
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
内田 紀之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20782204)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | リン脂質 / 生体親和性 / 皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においてはリン脂質からなる動的フォトニック結晶を作成し、リン脂質膜の相転移を利用した高感度の構造色変化を利用したセンサーの開発を目的 としていた。前年度においては、動的フォトニック結晶のウェアラブルセンサーとしての応用を視野に入れ、生体親和性に関して評価した。構成要素 のリン脂質をラットから採取した皮膚に対して投与し、その浸透性を評価した。その結果、皮膚の角質組織をほとんど突破せず、皮膚に対する毒性が低いことが 示唆された。さらに、ラットの皮膚に経皮投与し、皮膚に対する影響を評価したところ、皮膚に対する毒性や炎症反応がほとんどないことが確認された。さら に、この皮膚に対する低い毒性がはリン脂質の疎水部に分子を封入した場合にも維持されるのを確認した。それを踏まえ、今年度ではリン脂質フォトニック結晶を内包させたゲルを作成し、そのゲルデバイス中における構造色変化を確認した。ポリエチレンゲル中にフォトニック結晶に内包させ、温度変化を誘起したところ、ゾルの状態と同様に鋭敏な構造色変化が観察された。ヒドロゲルのような流動性が低い媒体中ではコロイド粒子の運動性が大きく減少するため、従来構造色変化を誘導するのは困難とされてきた。このため、本研究課題のようにヒドロゲル中においても鋭敏な構造色変化を起こすフォトニック結晶は過去にない革新的な材料であると言える。また、ゲルを作成するための構成要素である高分子ネットワークとしてポリアクリルアミドやポリNIPAMなども検討したところ、ポリエチレングリコールがフォトニック結晶の規則構造を維持するために最適な高分子であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、皮膚に対する影響の評価を進め、その成果に関して学会発表を行い、論文にまとめることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの2年間の知見を基に高感度なフォトニック結晶内包のゲルセンサーの開発を進める予定である。
|
Research Products
(5 results)