2019 Fiscal Year Research-status Report
Electron microscopic imaging of the solvation layer on nanoparticles
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19K15379
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| Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
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Principal Investigator |
岡田 賢 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生命理工学センター), 研究員 (90780916)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 走査電子顕微鏡 / エマルション / ナノ物性 / クライオ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
水中に油を分散し，粒子を油水界面に吸着させることで安定化させるピッカリングエマルションにおいて，吸着粒子近傍に束縛された溶媒を顕微観察するための第一段階として，エマルションの断面構造の観察および吸着粒子と油水の分離を行った．エマルションを高圧下で瞬間凍結させて得られた試料を，収束イオンビーム搭載クライオ走査電子顕微鏡により割断し，断面を露出することに成功した．また，断面作成ー観察を連続的に繰り返し，三次元再構築することで，凍結されたエマルションの全体像を得ることができ，得られた球状エマルションの粒径が他の分光手法等により得られた粒径と概ね一致していることが明らかとなった．
凍結試料表面の水を-90℃程度で昇華することでエマルションを部分的に露出し，表面に吸着している粒子の描像を撮影することができた．凍結したままの試料から作成した断面像においては，油水界面に吸着した粒子が部分的に観察できている．さらに，有機溶媒としてクロロホルムのような沸点100℃以下であり，分子間相互作用が少なく水より昇華しやすいものを用い，エマルション断面を露出した状態で内部の溶媒を除去することにより，エマルション内部から油水界面の構造を明らかにすることができた．しかしながら，断面像の撮影では氷が絶縁体であるための像質の悪化や，同じ物質でも断面積や断面作成の条件によって昇華しやすさが変わるなど，吸着粒子近傍の溶媒を観察する上での問題点も同時に明らかとなった．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたとおり，シリカナノ粒子と有機溶媒を用いてピッカリングエマルションを調製し，高圧凍結後FIBにより割断することで断面を露出した．有機溶媒がクロロホルムの場合は，内部の溶媒を選択的に除去することが可能であり，粒子の凹凸が確認できた．さらに，有機ポリマー粒子を用いたピッカリングエマルションにおいても，断面の一部で粒子を確認することができた．また，連続断面観察に基づく三次元再構築を行うことで，エマルションの体積および有機溶媒ー水界面に吸着した粒子の体積を電子顕微鏡により決定し，得られた情報は光散乱法など他の手法で得られた粒径分布と一致することが示された．また，水の昇華温度については，昇華よりも氷の結晶構造変化に由来すると考えられる構造変化が優先することが明らかとなった．そのため，夾雑物が溶けた溶液では，結晶相転移の速度および温度により注力する必要があると考えられる．
以上の通り実験は順調に進んでいるものの，有機溶媒の昇華において部分的に昇華が進まない現象が観測されている．断面作成時のイオン打ち込みによる反応等の要因が考えられるが，現時点では明らかになっていない．また，現在得られている像ではチャージアップ等によるアーティファクトが存在するため，安定した観察が困難であり，また本研究が最終的に目指す分解能を達成しきれていない．
以上より，いくつかの課題が残るものの，研究は概ね順調に進展していると判断できる．
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| Strategy for Future Research Activity |
断面積の変化による昇華温度の変化については，ナノ空間であることの効果がどの大きさから現れるかを定量的に示す指標となりうる可能性がある．そのため，粒子近傍の束縛溶媒に取り掛かる前に，まず昇華温度の断面積依存性を明らかにする．また，氷のチャージアップによる影響を最小限にするための基礎的知見として，氷や有機溶媒の低温における二次電子放出効率を測定するための手法を考案し，測定に着手する予定である．上記２点を明らかにしたのち，本研究の主題に着手する予定である．
なお，COVID-19の全世界的流行による渡航・移動制限および共用施設の利用停止などにより，本年度は数カ月間程度電子顕微鏡の利用が停止し，学会等の延期が予定されている．影響がどこまで派生するかは未知数であるが，電子顕微鏡を用いない実験を前倒しして行うなど臨機応変に対応する予定である．
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| Causes of Carryover |
年度末に参加を予定していた学会がCOVID-19蔓延により開催中止となったため．令和２年度も全世界的なCOVID-19流行により渡航自粛等が想定されるため，予定していた学会参加の一部を縮小し，その分を電子顕微鏡観察関連の消耗品費として活用する予定である．
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