2020 Fiscal Year Annual Research Report
『原子を模した分子』を用いた広範にフェルミ準位制御可能なn型半導体の創製と応用
Project/Area Number |
19K15387
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上野 裕 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (00775752)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 有機半導体 / ドーピング / 超原子 / フラーレン / 内包フラーレン / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,有機半導体分子と同じ外骨格を持つドーパント分子の合成し,これを用いた有機半導体材料の創製により,既存有機半導体が抱える問題点を解決した高伝導性・高汎用性有機半導体を開発する.2020年度は,初年度に合成した新規分子:中性リチウムイオン内包フラーレン誘導体(Li@PCBM)を用いた以下の研究を推進した. Li@PCBMを0~5wt%添加したLi@PCBM:PCBM複合薄膜(膜厚60 nm)を作製し,ケルビンプローブ法によりフェルミ準位(EF)を測定した.未ドープPCBM薄膜のEFが-4.64 eVであったのに対し、複合薄膜のEFは-4.52 eVまで上昇しており、Li@PCBMがPCBMに対してn型ドーパントとして機能することを確認した。この時,Li@PCBM添加量に応じたフェルミ準位の変化は見られず、1%程度の低ドーパント濃度領域でもEF制御に対する効果が飽和しているものと考えられる。複合薄膜を用いたペロブスカイト太陽電池デバイスを作製,性能評価を実施したところ,ドーパント添加量に依存して効率が変化し,未ドープPCBMを用いたデバイスと比較して最大で3%程度の変換効率上昇が見られた. また,Li@PCBM:PCBM複合粒子に関し,単分子レベルで分散したLi@PCBM:PCBM混合溶液に対し,特定の溶媒の添加により,粒子径~100 nmの複合粒子が得られることを見出した.複合粒子形成後に貧溶媒沈殿により粉末化し,ESRスペクトルを測定したところ,Li@PCBM固体では,-70~40℃の範囲でモノマー-ダイマー間の平衡に起因したシグナルの変化が見られる一方,複合粉末試料においては同温度領域においてLi@PCBMの二量化反応が抑制されるという知見を得た.複合粒子の磁気的特性に関する詳細な実験については今後新規研究課題として実験を推進する.
|
Research Products
(8 results)